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【海外マーケット】オーストラリアのケープ・バイロン蒸溜所が初のウイスキーを発売

2022.11.01 / 最終更新日:2024.02.10

オーストラリアのニューサウスウェールズ州バイロンベイにあるケープ・バイロン蒸溜所が2022年8月、創業以来初となるシングルモルトウイスキーを発売しました。
バイロン蒸溜所は、ウイスキーの蒸溜所としては珍しく熱帯雨林地帯に建造されています。アイラウイスキーの象徴であるジム・マキューアンとマスターディスティラーのエディ・ブルックが手掛けるウイスキーとして、世界が注目する蒸溜所です。ケープバイロンでは、熱帯雨林を保全するため、ウイスキー造りにさまざまな工夫が取り入れられています。
今回は、誕生の秘話などについてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください!

オーストラリアウイスキーとは?

世界6位の国土面積を誇るオーストラリアでは、1つの国に多様な気候帯が混在しています。熱帯雨林や砂漠地帯に加え、積雪がみられる山岳地帯など変化に富み、地域ごとに全く異なった風土を持ちます。

多様で豊かな自然環境は、醸成されるウイスキーにも影響を及ぼしてしまいます。多くの蒸溜所が位置するタスマニアでは、ウイスキー造りに最適な気候と高品質な仕込み水が注目されています。多様な気候を活かしたバラエティ豊かなウイスキーは、一国内で生産されたとは信じられないほどです。

また、オーストラリアではシングルモルトウイスキーが主流です。多くの蒸溜所がウイスキーと並行してジン、ウォッカ、リキュールなど他の蒸留酒を生産しています。ウイスキー造りの歴史は浅いですが、規制が少なく比較的自由なスタイルのウイスキー造りが行われています。

ジム・マキューアンとの出会い

オーストラリアの一蒸溜所がこれほどまでに注目を浴びている所以は、アイラウイスキーの象徴であるジム・マキューアンの存在にあると考えられます。

ジム・マキューアンとは

ジム・マキューアンは元ボウモア蒸溜所責任者を務めていた方です。
アイラ島のボウモアで生まれたマキューアンは、15歳でボウモア蒸溜所の見習いの樽職人としてキャリアをスタートし、その後ウイスキーの在庫を管理するセラーマスターとなりました。1976年にはグラスゴーに移りモリソン・ボウモアのブレンダーとして活躍されます。1986年、ボウモア蒸溜所にマネージャーとして戻り、ボウモア蒸溜所の革新的な製品を生み出したことを評価され、広報大使として世界中を駆け巡りました。2001年には、ブルイックラディ蒸溜所の生産ディレクター兼マスターディスティラーとなり、ブルイックラディ蒸溜所の改修やウイスキーの品質向上に貢献しました。

マキューアンはウイスキー業界で最も知られている人物の1人です。世界的なウイスキー雑誌「ウイスキーマガジン」では殿堂入りを果たしています。ディスティラー・オブ・ザ・イヤーに2度も選ばれるなど、多くの受賞歴を持ちます。2015年、52年間にわたって携わってきたウイスキー業界を引退しますがその後も、2018年にアイラ島にオープンしたアードナホ蒸溜所の設計に関り、アードナホ蒸溜所の生産も監督しています。

(左)エディ・ブルック(右)ジム・マキューアン

出典:capebyrondistillery.com

バイロン蒸溜所初のウイスキー誕生

マキューアンは2014年にオーストラリアを巡るプロモーションツアーに参加した際、ディスティラリーマスターのエディ・ブルックと出会いました。当時ツアーコンダクターを務めていたエディは、熱帯雨林やオーストラリアの可能性についてマキューアンと語り合い、マキューアンにインスピレーションを与えたといいます。

2人が意気投合し、レインフォレスト(熱帯雨林)・ジン開発の計画が持ち上がるまで時間はかかりませんでした。その後、熱帯雨林を有するバイロンベイでウイスキーを蒸留するアイディアが生まれました。こうして2019年2月にプロジェクトが始動します。そして現在、ジム・マキューアンが手がけるケープ・バイロン蒸溜所初のウイスキーが世に出されることとなりました。

レインフォレストの様子

オーストラリアならではの環境意識の高さ

オーストラリアは環境意識がとても高いことで知られており、ケープ・バイロン蒸溜所も突出した環境対策を行っています。それは世界的にも認められ、バイロン蒸溜所は2020年にアイコン・オブ・ジンアワードで「サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

こうした環境配慮の背景には、ディスティラリーマスターであるエディ・ブルックの強い信念がありました。彼はバイロンベイで育ち、森林保護への情熱と長年の経験、ジム・マキューアンとの出会いが重なり合い、この地に蒸溜所を誕生させたのです。

また、バイロン蒸溜所は「ビッグスクラブ」と呼ばれる熱帯雨林地帯に位置しています。ビッグスクラブが現存するのは豪国土の1%未満で、希少な熱帯雨林として保護対象となっています。
蒸溜所の土地は、以前は酪農地として使用されていました。1988年、当時の所有者であった夫妻が35,000本以上の植林を行い保全に務め、現在は多様な動植物が定着しています。実際に、バイロン蒸溜所のジンには、地域で採取されたハーブ・スパイス17種類が使用されています。

現在は、蒸溜所公式HP内のECサイトで購入することが可能です。
蒸溜所公式HP内のECサイトはこちらから

出典
ケープ・バイロン蒸溜所(Cape Byron Distillery)
https://capebyrondistillery.com/

ウイスキー.com
https://www.whisky.com

ウイスキーマガジン
http://whiskymag.jp

ウイスキーキャスト
https://whiskycast.com

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