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【イベントレポート】小諸蒸留所・ウイスキーアカデミー<第1弾>

2024.03.12 / 最終更新日:2024.03.12

清らかな水を育む浅間山麓にて、北国街道の宿場町として発達した、長野県の小諸市。そして、ウイスキー造りに最適な気候・水質・自然環境を兼ね備えるこの場所で、小諸蒸留所は設立されました。

小諸蒸留所は、軽井沢蒸留酒製造株式会社の代表である起業家の島岡高志さんと、世界的に有名な元カバランのマスターブレンダーである共同創業者のイアン・チャンさんがタッグを組んで生まれました。

Dear WHISKYではこの度、国内外から注目を集め、2023年7月23日にオープンしたばかりの小諸蒸留所に実際にお伺いし、取材させていただきましたのでその様子をお送りいたします!

今回の記事は全2弾構成になっており、第1弾として蒸留所見学とウイスキーアカデミー初心者向けコースの様子をご紹介します!
2弾では中級者・上級者向けのコースに加えて、小諸蒸留所にあるBarもご紹介しますので、どうぞお楽しみに!

併せてお読みください!

小諸蒸留所とは

小諸蒸留所について

軽井沢蒸留酒製造株式会社の共同創業者である起業家の島岡高志さんと、世界的マスターブレンダーであり台湾のカバラン蒸溜所も手掛けたイアン・チャンさんが共同で、小諸蒸留所を創設しました。

島岡さんは、2014年頃から蒸留所建設プロジェクトのための「ウイスキー造りに最適な自然環境や地域文化のある土地」を探し続け、ついに2019年に小諸の地を見つけました。そして運命的な小諸という土地との出会いの直後、島岡さんは世界的マスターブレンダーのイアンさんと出会いました。小諸蒸留所は、2人の熱い想いによってコロナ禍などの様々な苦難を乗り越え、2023年7月23日に公式にオープンを果たしました

冷涼な土地のため自由にウイスキー造りをできる初めての場所であり、恩師であるジム・スワン博士の想いと知恵を注ぐ場所になっています。そして、ウイスキーの造り手だけではなく小諸市役所も全力でサポートしている、地域と共存する蒸留所です!

小諸蒸留所概要

工場名 小諸蒸留所
創設者 島岡 高志・イアン チャン
所在地 長野県小諸市甲4630-1
電話番号 0267-48-6086
蒸留所HP https://komorodistillery.com/

小諸蒸留所入口

小諸蒸留所Whisky Academyとは

Whisky Academyについて

ウイスキーアカデミーは、イアンさんが恩師のスワン博士を通じて2010年に知り合い、それから長年の旧友であるエディー・ラドローさん監修のもとで開かれました。

スコットランドやイギリスで、ウイスキーラウンジという会社として、ウイスキーテイスティングイベントを幾度も開催しているエディーさんは、ウイスキー業界のエバンゲリストとも呼ばれています。

小諸蒸留所に訪問した際には、二種類のプランからご選択いただけます!
1つ目はKOMORO Experienceと呼ばれるもので、工場と熟成庫の見学、そして小諸蒸留所内にあるバーにて、ウェルカムドリンクを楽しむことが出来ます

2つ目がKOMORO Academy、つまりウイスキーアカデミーであり、目的やウイスキー歴に応じた5つのコースから選ぶことが出来ます。どのコースも自由に選ぶことが出来るため、ウイスキーを飲み始めたばかりの方も上級者向けのコースを堪能することなども出来るため、様々な楽しみ方があります。

各コースでは、ウイスキーの基礎や熟成・ピートなどを学ぶことができ、さらに工場と熟成庫の見学もできます。全てのコースが1時間ほどで、お酒をお飲みになる方はウイスキーのテイスティング、お酒をお飲みにならない方は地元農家のりんごジュースが楽しめます。

Whisky Academyのきっかけ

ウイスキーアカデミー開講は、運命的な縁によって始まりました。島岡さんがウイスキーについて学ぶときに大切に読んでいた本が「Whisky: A Tasting Course」という本でした。そしてこの本は、小諸蒸留所の共同創設者であるイアンさんの友人のエディーさんが執筆した本でした。そのため、島岡さんとエディーの共通の友人であるイアンさんが2人を結び、エディーさんも小諸蒸留所の運営に参加しました。
エディーさんは実際にウイスキーアカデミーの英語バージョンをご自身で担当することも。

KOMORO Academy概要

コース名 Tasting 101 基礎を知る
値段 3,800円
内容概要 初級レベル。ウイスキーとは何かという基本的な知識、特に味や香りについて学べるコース。
コース名 Production 101 製造について知る
値段 3,800円
内容概要 初級レベル。ウイスキーの製造工程について学びたい方向けのコース。
コース名 The Art of Maturation 熟成の謎に迫る
値段 5,000円
内容概要 中級レベル。熟成の仕組みをより詳しく学べるコース。
コース名 The Story of Peat ピートを極める
値段 6,000円
内容概要 上級レベル。“ピーテッドウイスキー”について詳しく探究するコース。
コース名 Whisky & Cocktails カクテルについて知る
値段 6,000円
内容概要 初・中級レベル。バーテンダーと共に、ウイスキーを使ったカクテルなどの、カクテルメイキングについて学べるコース。
コース名 Whisky& Cocktails -Short Version-
値段 3,000円
内容概要 初・中級レベル。バーテンダーと共に、ウイスキーを使ったカクテルメイキングについて学べるコースのショートバージョン。
Whisky Academyのご予約はこちらから!

KOMORO Experience 概要

コース名 KOMORO Experience
値段 2,500円
内容概要 バーテンダーが作る小諸ならではのウェルカムカクテル(ノンアルコールドリンクも有り)を楽しめます。ツアーに参加できる他、バーやショップをご利用も可能。
Komoro Experienceのご予約はこちらから!

 

 

実際に小諸蒸留所に行ってきました!

小諸蒸留所外観

小諸駅から車で約10分ほどと、交通の便が非常に良い場所にあります。
小諸蒸留所は、建築にも強くこだわりがあり、外観も施設内部も蒸留所とは思えないほど芸術的な美しさでした。小諸の美しい自然の中に溶け込めるように、建物自体の高さを低くし、色合にも気を付けるなど工夫が凝らされているため、とても柔らかい雰囲気で森の中のギャラリーを彷彿とさせる佇まいでした。

小諸蒸留所の外観

出典:PR TIMES 小諸蒸留所ビジターセンター予約開始のお知らせ

小諸蒸留所ビジターセンター

蒸留所に入るとすぐにあるビジターセンターは、白色と様々な木材を基調としていて、受付には桜、ブランディングテーブルにはミズナラ、バーカウンターにはチェリーと、多くの木材を使用していました。

商品が置いてあるカウンター

また、ビジターセンターの2階にウイスキーアカデミーの教室があり、その他にブレンダー室や研究室などもありました。

ウイスキーアカデミーの教室がある2階へ続く階段

 

蒸留所見学

予約していたウイスキーアカデミーのコースまでの時間で、工場と熟成庫の見学に参加しました!
(ウイスキーアカデミーの様子は後ほどご紹介します!)

蒸留設備概要

蒸留設備は、ビジターセンターと同じ建物にあるため、そのスペースからガラス越しに見える状態でした!工場内は基本的に撮影禁止でしたが、ガラス越しでの撮影は可能です。
実際に使われている麦芽や麦汁などの匂いを嗅がせていただき、分かりやすく製造の仕組みを教えていただきました(詳しくは後ほどウイスキーアカデミーコース、Production 101 のレポートにて!)。

蒸留所見学最初の場所。蒸留工程が分かりやすく記載されています。

その後、早速工場内に入ると、発酵の甘い香りが充満していました!この工場内では、美術館用の照明を使用しており、ポットスチルが浮き出て見える工夫が施されています。
このようなことに加えて、時間や季節・天候によって見え方が異なる作りになっており、リピーターの方々でも、常に新しい小諸蒸留所を楽しめるようにという想いがこもっています。
皆さんも、ぜひ何度も訪問し、蒸留所内の様々な顔を見てみてください!

ミリング(粉砕)

小諸蒸留所では、海外各国からイアンさん選りすぐりの大麦麦芽を仕入れているので、それを粉砕するミリングから工程が始まります。

粉砕の前の麦芽と、左からハスク、グリッツ、フラワー

マッシング(糖化)

その次に、糖化槽(マッシュタン)が1つありました。

マッシュタン

ファーメンテーション(発酵)

発酵槽は、木製とステンレス製の2タイプ両方とも使用しており、5台ずつ、計10台ありました。見学した際には、発酵槽に入れて1日経った時だったので、少し発酵し泡立った様子を見ることができました。

木製とステンレスの発酵槽

ディスティレーション(蒸留)

蒸留のためのポットスチルが、初留器と再留器の1台ずつ置かれていました。
ポットスチルの前では、小諸蒸留所で蒸留された、ローワイン(初留液)、フォアショット(前留液)、実際に使われるハート(本留液)、フェイント(後留液)の香りを嗅ぐことができました。
皆さんも実際に訪問し、試してみて下さい!

手前は再留器、奥が初留器

ここで驚いたのが、初留器の方が、再留器よりも小さいということです!
蒸留工程では最初に、発酵槽から得られたウォッシュ(醪:もろみ)をすべて初留器に入れ蒸留を行います。一般的にはアルコール分が凝縮された初留液(ローワイン)はウォッシュと比べると容量が少なくなるため、再留器は初留器に比べて小さいことがほとんどです。
しかし、小諸蒸留所では、全工程2回分のローワインをまとめて再留し、小規模な工場で効率的に生産するために、再留器の方が大きくなっています!

熟成

森林に溶け込む熟成庫

小諸蒸留所から出て、徒歩数分坂道を上がった更に高いところに2つ熟成庫があります。2つとも、背の低い構造と、黒い屋根によって周りの森林によく溶け込んでいました。一般の訪問客が中を見学出来るのは、第二熟成庫です。

来館者が見学できる熟成庫の外観

自然と共に作られた熟成庫

小諸蒸留所の熟成庫は、周囲を森林に囲まれています。小諸蒸留所では、この自然を大切にしようとする想いから、小諸すみれのような、地元由来のたくさんの植物を植えていました。
熟成庫建設のために伐採した森林の木も、小諸蒸留所のビジターセンターに置いてあるベンチなどに使われているそうで、島岡さんやイアンさんの、自然と地元を大切に想う気持ちが伝わってきました。

熟成庫が建っている丘と植えられた植物たち

美しい景色とともに楽しむことが出来るカウンター

第一熟成庫の前には、森の試飲場と呼ばれる木製のカウンターが建設してありました。森の試飲場から来館客が景色を見下ろせるようになっていて、オープン直後の現在はまだ活用されていませんが、近々その景色を見ながら試飲できるように計画しているそうです!

森の中の試飲場

自然に適した熟成庫の構造

2つの熟成庫は、特徴的なドーム型の屋根をしていました。黒い屋根は一枚の鉄板を丸めたもので、冬に雪が降っても積もらず、日光の暖かさを取り入れられるような黒いドームとなっています

遊び心溢れる熟成庫のデザイン

このドーム型の屋根を生かして、実はこの熟成庫は、樽を縦半分に切った形となっています。小諸蒸留所の遊び心はこれだけではなく、熟成庫の中も、エンジェルズシェア(熟成中に蒸発してウイスキーが減ってしまうこと)を意識した内装となっていて、壁の上の白い部分はエンジェルズシェアで無くなってしまったウイスキー、そして照明は天使(エンジェル)の輪を意識した形だそうです!

カスク倉庫の中の様子

熟成庫に対するイアンさんのこだわり

なおこの熟成庫には空調設備や換気設備が備え付けられてはいませんでした。熟成庫に空調も換気もない理由としては、小諸の自然に近い状態でウイスキーの熟成ができる環境を作りたかったというイアンさんの想いが反映されています。そのため、地面もカバラン蒸溜所とは違い、土で出来ていて、樽の重みにより沈下しないように、有機系の硬化物を使っているそうです。

小諸蒸留所ならではの熟成庫

暑さも土の床も含め、案内していただいた小諸蒸留所の方は、人が住む環境と真逆だとおしゃっていました。しかし、この自然を生かした熟成庫内は、季節や天候によって全く違うものとなります。皆さんも行ってきて、それぞれ違った経験をし、遊び心あふれる熟成庫内を見てみてください!

小諸蒸留所の「守破離」

若いチームの理由

そして、工場全体を見て驚いたのが、若いスタッフがとても多いということです!

新入社員の方もいるらしく、これは小諸蒸留所の「守破離」という信条が反映されています。
茶道や武道などの日本文化にある修練による成長を表す言葉です。

「守破離」の「守」

「守」には師による教えを忠実に守るという意味があり、これはイアンさん自身の恩師であるスワン博士の教えを小諸蒸留所で生かしたいという気持ちがあります。

「守破離」の「破」

「破」には、その教えに新しいことを組み合わせ、基本である教えを応用するという意味で、イアンさんがウイスキー界に新しく入った若者たちにその教えを伝授し、小諸蒸留所ならではのウイスキー造りを共にしていくということです。

「守破離」の「離」

「離」は、その応用した型を確立させ、自分のスタイルとして使っていくという意味があります。若者たちをウイスキー界で活躍できるようにという想いがこもっているそうです。

若いスタッフのメリット

また、新しい人々を起用することによって、「蒸留所はこうでなくてはいけない!」という先入観がなく作業することもできるそうです。

若いスタッフたち

以上が蒸留所、熟成庫の見学でした!

KOMORO Experience、Whisky Academyのどちらでも見学をすることができるので、ぜひ参加してみてください!

今回は、Whisky&Cocktail以外の4つのコースを受講しました。このレポート第一弾では、Production 101とTasting 101について紹介します!

アカデミーレポート Tasting 101 基礎を知る

コース概要

「Tasting 101 基礎を知る」は初心者向けのコースで、ウイスキーとは何かという基本的な知識などを学べます!

こちらのコースは、ウイスキーアカデミーを監修しているエディー・ラドローさんがいらっしゃったので、通訳の方と共に、本人に教えていただきました。

このコースはエディーさんの、「初心者の方にも、怖がらずもっと自信を持ってバーやレストランでウイスキーを頼み、楽しめるようになってほしい」という想いがこもっています。
そのため、ウイスキーの味や香りの違い、色の違い、そしてそれらの要素がどのように樽の種類や熟成年数などに左右されているのかということを重点的に教えていただきました。

ウェルカムドリンクと試飲用のウイスキー

そして最初に、受講者皆さんに、ウェルカムドリンクとしてハイボールが提供されました!
ウイスキーの種類はエディーさんが、軽くて飲みやすく、尚且つハイボールにしてもしっかりとウイスキーを感じられるようにと選ばれたもので、その通りの味が感じられ、とても美味しかったです!ウイスキーの種類は、行ってからのお楽しみです。
アルコールを飲まない選択をされた方には、自家製のジンジャーエールが提供されました。

提供されたハイボール

そしてテイスティンググラスに注がれた3種類のウイスキーを、コースの内容に合わせ、色を見たり、香りを嗅いだり、試飲をしたりして楽しむことができました。
ちなみにこれらのウイスキーは、コースが終わるまで、銘柄や樽の種類、年数などが明かされることはありません。
これは、エディーさんが、そのような情報を知らない方が先入観を持たずに試飲できる、と考えられているからです。皆さんも、ぜひ受講して確かめてきてください!
最後に、銘柄が公開され、色の違いや味、香りの違いが、どのように熟成年数や樽の種類などに左右されているのか理解することができるようになっています。

味に関しても香りに関しても、受講者が感じたことを答えた後、エディーさんの感想をネタばらしすることはあるものの、「ウイスキーは人それぞれ感じ方が違い、そのことを議論できることが楽しく、感じた香りや味に正解はない」というエディーさんの考えのもと、皆さんが違った感想を共有できる空間となっていました。

アカデミーレポート Production 101 製造について知る

テイスティングに出されたウイスキー

概要

「Production 101 製造について知る」は初心者向けのコースで、ウイスキーの製造工程について学べます!

このコースを受講した日はバーテンダー兼マネージャーでもあり、ウイスキー文化研究所認定のウイスキープロフェッショナル資格を保有している冨士原希さんに教えていただきました
他にも2人講師の方がいますが、講師のお三方は、全員エディーさんとイアンさんと共に何度も構成を確認し、お墨付きをもらっているそうです!

このコースでも、3種類のウイスキーを試飲することができます!そして、こちらでも実際に使われている麦芽やピートなどの香りを嗅ぐことができます!

製造工程説明の動画

最初に、ウイスキーの製造工程について簡単に説明した小諸蒸留所作成の動画を見ます。

とても分かりやすく、英語字幕もついているその動画には、色々な機械のイラストなどが出てくるのですが、それらは実際に小諸蒸留所で使われている機械の図面を元に描かれ、忠実に再現されているようです!

その後、講師の冨士原さんにより、原料から製造・熟成まで細かく説明していただきました!

ピートとは

左からピーテッドの麦芽とノンピーテッドの麦芽

ピーテッドウイスキーとノンピーテッドウイスキー

ピーテッドウイスキーとノンピーテッドウイスキーについて説明があり、普通の麦芽と、ピートの効いた麦芽を嗅ぎ比べることができました!
この工程でピートが使われるか使われないかで、ウイスキーのスモーキーさは決まります。麦芽の時点から、もう既に大きな違いが感じられました。
このとき、スコットランドでとれた本物のピートの香りも嗅ぐことができるのですが、燃やされる前のピートの匂いは意外なものでした!
どのような香りかは、皆さんも、実際に行って体験してみてください!

製造工程について① ミリング

それぞれの製造工程について丁寧な説明があり、小諸蒸留所の製造の特徴など、行かなくては知り得ない情報なども教えていただけました!これは、行ってからのお楽しみですが、この記事では少しだけ触れたいと思います!

粉砕の前の麦芽と、左からハスク、グリッツ、フラワー

まず最初に説明していただいたのは、粉砕(ミリング)工程です。ミリングとは、ミルと呼ばれる機械を使って、麦芽を3つの粉砕度合に粉砕するための過程です。
粉砕度合により名前が違って、荒いものから順に、ハスク・グリッツ・フラワーと呼びます。

製造工程について② マッシング

次はマッシングと呼ばれている糖化工程です。
糖化の目的は、麦芽の澱粉(でんぷん)を糖に変えることで、麦汁を3段階に分けて確保します。

製造工程について③ 発酵

その後、麦汁を発酵させる工程に移ります。発酵槽はウォッシュバックといい、発酵した後の発酵液をウォッシュと呼んでいます。
小諸蒸留所では木製とステンレス製の発酵槽を両方とも使い、掛け合わせています。ステンレス製は素直で安定した風味を得ることができ、木製は微生物の働きの影響が出るので、独特な特徴を生み出します。小諸蒸留所は、その2つの良いところを掛け合わせようとしているのです。

製造工程について④ 蒸留

そしてついに、ウイスキー製造過程の花形である、蒸留となります!

蒸留の仕組み

蒸留は、ポットスチル(蒸留器)で行われます。水との沸点の違いを活用し、アルコール成分が凝縮されたローワインを抽出する初留器と、そのローワインをさらに蒸留しアルコール成分を凝縮する再留器の2台で行われます。再留器では蒸留された液体を3種類に選別する「ミドルカット」と呼ばれる工程を行います。

ポットスチルの仕組み

そのポットスチルの形状の違いや、ネックの長さ、上向きか下向きかでどのように味わいが変わるのか教えてくださいました。詳しい違いは、受講当日のお楽しみにとっておいていただきたいのですが、小諸蒸留所では、下向きのスワンネックが再留器に使われています。

ミドルカットとは

ミドルカットとは、先ほど説明をしたフォアショット、ハート、フェインツというように蒸留された液体を分け、その中から味わい深いハーツのみを取り出す工程です。このハートが樽に詰められ、熟成を経ることでウイスキーとなります。

左の再留器の方が大きい

製造工程について⑤ 熟成

最後は、ウイスキーの味わいにとても大切になってくる、熟成について学びました。

小諸蒸留所の樽

ちなみに小諸蒸留所では色々な種類の樽を使っているようで、特にSTR樽(STR:シェービング、トースティング、リチャーリングの処理を施した樽)と呼ばれている樽は、イアンさんがカバランにいた時に、スワン博士と共に開発したものです!
またほかにも、日本特有の木材を、熟成樽に使おうと考えているそうで、オークしか使えないスコッチウイスキーなどでは考えられないような木材にも目をつけられていました。
それぞれの木がどのような味になるのか、講師の方と想像しながら議論するのも、楽しかったです!

小諸蒸留所の熟成の現状

私が行った時点では20樽ほど既に熟成プロセスを開始しているらしく、2026年を目処に一般販売をしたいとおっしゃっていました。皆様が行く時は何樽くらいに増えているでしょうか?

さて、ここまでがProduction 101でした!

皆さんも興味が湧いたでしょうか?
とても内容が深く、尚且つ初心者にも分かりやすい内容となっていました。

 教室から下にある工場を見渡せるので、実際にその工場を見ながら製造の説明を受けられ、より具体的に理解することができました!

 

次回は、イベントレポート第2弾で中級者・上級者向けウイスキーアカデミーなども!

オープンしたばかりの最も新しい蒸留所ながら、工場や熟成庫見学、そしてウイスキーアカデミーなど楽しめる要素がたくさんあり、イアンさんや島岡さんのこだわりが至る所に散りばめられた、見どころ満載な蒸留所でした!
エディーさんや冨士原さん、そして島岡さんを含め、蒸留所の皆様、本当にありがとうございました!

第二弾では、中級、上級者向けのコース2つと、バーの様子を紹介するのでお楽しみに!
また、エディーさんとの独占インタビュー記事もありますのでそちらも是非併せてお読みください!

併せてお読みください!

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