ウイスキーのカスクストレングスとは？ おすすめ銘柄・飲み方も紹介！
- ウイスキー基礎知識
2024.03.29
ウイスキーのピート香は、燻製のような香りでスモーキーと表現されるウイスキーが持つ特徴のひとつになります。
スコッチウイスキーの製造環境によって生まれた製法がウイスキーにスモーキーな香りを与えましたが、ジャパニーズウイスキーなどスコッチを参考にした一部のウイスキーはピート香を持つことがあります。
スモーキーな香りの強さを計るのに参考になる基準にはフェノール値があり、感じ方には人それぞれに個人差があるものの、この数値が高いほど強いピート香を持ちやすいといえるでしょう。
この記事では、ウイスキーのピート香をフェノール値を基準にランキング形式にして、最強のスモーキーさを持つ銘柄を紹介します。
この記事のポイント
- ピート香の強いウイスキーの特徴を解説
- 最強のスモーキーさをもつ銘柄をランキング形式で紹介
ピート香の強いウイスキーの特徴
ピート香の強いウイスキーの特徴を3つ紹介します。
- ピート（泥炭）を焚いて大麦を乾燥させている
- ピートの産地・使用方法・焚き方の違い
- ピート香の強さを判断する基準であるフェノール値が高い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ピート（泥炭）を焚いて大麦を乾燥させている
そもそもピート香のピートとは何かわからない方もいるかもしれません。
ピートとは植物や海藻などが長い年月をかけて堆積したものであり、日本語では泥炭と呼ばれます。
スコットランドはピートが豊富であったため、可燃性であることから、石炭の代わりに燃料として使用されてきました。
ウイスキーの製造工程には大麦を乾燥させる工程がありますが、スコットランドではピートを使用してウイスキーの原料である大麦を乾燥させてきました。
ピートを焚いて乾燥させたウイスキーは、スモーキーな香りを持つようになることから、スコッチウイスキー特有の特徴として知られることになります。
スコッチウイスキーの製法を参考にしたジャパニーズウイスキーにも同様の特徴が見られるようになり、現在では必ずしもスコッチ固有の特徴とはいえません。
大麦を乾燥させる燃料にピートを使用することが、ピート香のあるウイスキーの特徴になります。
当時は石炭の代わりに燃料として安いピートを使用していた背景がありますが、現在ではピートスモークを愛するウイスキー愛好家のためにあえてピートを使用している状況です。
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ピートの産地・使用方法・焚き方の違い
ピートは産地ごとの種類や、使用方法、焚き方などの違いによってもその香りと強さが変化します。
例えば、草花などの植物からできた内陸部のピートを使用するとスモーキーでありながら、少しフローラルであったり、アロマを感じるような甘みのあるピートスモークになります。
海藻などからできた海辺にあるピートを使用すると潮気があり、ヨード香とも表現される薬品のような香りがするピートスモークになるため、使用するピートの種類によっても香りに違いが出ることがわかるでしょう。
そして、ピートを使用する量、焚く時間の長さ、焚くタイミングなどでも、ピート香の強さは変化することから、ウイスキーの製造過程は大麦を乾燥させる工程であっても奥深いことがわかります。
ピートが取れなくなる！？ スコッチウイスキー業界の現状を取材する記事はこちらで紹介しています。
ピート香の強さを判断する基準であるフェノール値が高い
ウイスキーを購入するときピート香の強さを判断する上で基準となる値がフェノール値（ppm）です。
フェノール値は、大麦をピートで乾燥させた際に発生するフェノール化合物の濃度であり、大麦の段階で測定されます。
あくまで大麦の段階のピート香の強さの指標であるため、フェノール値の高いウイスキーであっても、必ずしも強いスモークを感じられないことを理解しておきましょう。
ピートスモークの強さを判断する指標として利用する一つの判断材料と考えた上で、フェノール値によるスモーキーフレーバーの傾向は以下の通りです。
| フェノール値 | ピート香の強さ |
| 10ppm | 弱め |
| 25ppm | 中程度 |
| 40ppm | 強い |
ピート香の強さはフェノール値である程度把握できるため、ピート香のある気になる銘柄を見つけたらフェノール値を調べてみるようにしましょう。
最強のスモーキーさを持つウイスキーのピート香ランキング
最強のスモーキーさを持つウイスキーのピート香ランキングを紹介します。
一部のウイスキーはほぼ同一のフェノール値を持つことから同一順位となっていますが、100ppmを超える別格の銘柄から一般的にピート香を強く感じやすい30ppmの銘柄まで10種類をランキング形式で見ていきましょう。
- 1位：オクトモア（100ppm以上）
- 2位：アードベッグ 10年（55ppm）
- 3位：キルホーマン マキヤーベイ（50ppm）
- 3位：ロングロウ ピーテッド（50ppm）
- 3位：バレッヒェン 10年（50ppm）
- 6位：ラフロイグ 10年（45ppm）
- 7位：ポートシャーロット 10年（40ppm）
- 7位：ビッグピート（40ppm）
- 9位：レダイグ 10年（35ppm）
- 10位：カリラ 12年（30ppm）
1位：オクトモア（100ppm以上）
画像引用：https://www.bruichladdich.com/
オクトモアはブルックラディ蒸溜所で製造されるエディションナンバー付で毎年販売されている限定のシングルモルトです。
フェノール値は驚異の100以上を記録する銘柄が多く存在しており、中には300を超えるフェノール値を持つボトルもあるようです。
フェノール値では他の銘柄と比較にならない別格の銘柄であり、ピート香にこだわりたい人が飲みたい高級ウイスキーといえます。
2位：アードベッグ 10年（55ppm）
画像引用：https://www.ardbegjapan.com/products/
オクトモアは例外的な銘柄であるため、最強のスモーキーさを持つのはアードベッグ10年と言われることもあり、このピート香に熱狂する人のことをアードベギャンと言われるほど高い人気を持ちます。
55ppmのフェノール値は、アイラウイスキーでもトップクラスであり、非常に強いスモークの中にある柑橘系のフルーツやチョコレートのような甘みが感じられるヤミツキになる人も多い銘柄です。
最強のスモーキーさを追い求めるなら、アードベッグを試してみることをおすすめします。
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3位：キルホーマン マキヤーベイ（50ppm）
画像引用：https://whisk-e.co.jp/products/kilchomanmachirbay/
アードベッグに続くトップクラスのフェノール値の50ppmを持つウイスキーには、キルホーマン マキヤーベイがあり、アイラウイスキーの銘柄の一つです。
アイラウイスキーらしい薬品のような強いヨード香とかすかな果実の甘い香りがあり、ピート香の強さと複雑で洗練された味わいが楽しめます。
完成度の高いクラフトウイスキーとトップクラスのスモーキーさを楽しめる魅力的なシングルモルトです。
3位：ロングロウ ピーテッド（50ppm）
画像引用：Amazon.co.jp
ロングロウ ピーテッドは、キャンベルタウンのスプリングバンク蒸溜所で製造されるヘビリーピートタイプのシングルモルトウイスキーです。
花のアロマをまとったピート香が特徴的であり、フルーティーな味わいとオイリーな口あたりが楽しめる銘柄です。
スプリングバンク蒸溜所ではスモーキーな風味があるスプリングバンクよりも、ピート香の強いウイスキーを製造しています。
3位：バレッヒェン 10年（50ppm）
画像引用：https://item.rakuten.co.jp/3line/10003165/
バレッヒェン 10年は、エドラダワー蒸溜所で製造されるシングルモルトのブランドであり、シングルモルトのエドラダワーとは対称的なフェノール値が非常に高いウイスキーです。
シェリー樽熟成による濃厚なフルーティーさとクリーミーな味わいが楽しめますが、強力なピート香もあるアイラウイスキーとは異なるスモークを味わえます。
甘いウイスキーが好きでも、甘いだけでなく力強いスモーキーさを味わいたい方におすすめです。
6位：ラフロイグ 10年（45ppm）
画像引用：https://products.suntory.co.jp/d/5010019640253/
ラフロイグ 10年は、スモーキーなウイスキーの代名詞とも言われる知名度の高いピート香の強いウイスキーですが、意外にもフェノール値は45ppmであり、最強のスモーキーさを持つウイスキーの中では中堅に位置します。
しかし、アイラウイスキー特有のヨード香、海藻のような海を感じる風味が感じられ、強いスモークを味わえます。
強いピートスモークを追い求めるならすでに飲んでいる方も多いかもしれませんが、飲んでいないなら優先して飲みたい人気のピート香を持つウイスキーです。
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7位：ポートシャーロット 10年（40ppm）
画像引用：https://rcjkk.com/bruichladdich/pc10yo/
ラフロイグに一段劣るものの強いピート香を持っている銘柄には、ポートシャーロット10年があり、フェノール値も40ppmと高い水準になっています。
強いピートスモークの中に、メープルシロップのような甘みと、ジンジャーのスパイス感があり、最終的には柔らかい印象をもたらしてくれます。
別格と言えるオクトモアを製造しているブルックラディ蒸溜所で製造されるシングルモルトウイスキーの一つとなっています。
7位：ビッグピート（40ppm）
画像引用：https://www.douglaslaing.com/collections/big-peat/products/big-peat
ビッグピートは、ボトラーズのダグラスレイン社で販売されるブレンデッドウイスキーであり、アイラウイスキーのみをブレンドした銘柄です。
ランキングの上位を個性的なシングルモルトが占める中で、口の中で爆発するようなスモークに長い余韻のあるブレンドによって洗練された味わいを楽しめるブレンデッドとなっています。
使用されている原酒には閉鎖したポートエレンが含まれているといわれており、アイラウイスキーを中心とするピート香のあるウイスキーが好きな人におすすめの銘柄です。
9位：レダイグ 10年（35ppm）
画像引用：https://tobermorydistillery.com/products/ledaig-10-year-old
レダイグ 10年はトバモリー蒸溜所で製造されるシングルモルトであり、スプリングバンク、エドラダワーと同様に複数のシングルモルトをリリースし、フラッグシップのボトルと差別化してフェノール値の高い銘柄となっています。
40ppmを切る35ppmになりますが、潮気のあるスモーキーさが感じられ、口あたりのオイリーさが際立つウイスキーです。
25ppmまでのスモーキーなウイスキーを飲み慣れていて、ワンランク上のピート香を味わいたい方におすすめです。
10位：カリラ 12年（30ppm）
画像引用：https://www.mhdkk.com/brands/caol_ila/
カリラ 12年は、フェノール値は30ppmと40ppmを超えるウイスキーと比較すればピートスモークの強さが劣ることがはっきり感じられますが、ウイスキー全体ではフェノール値が高い銘柄といえるでしょう。
ピートスモークと麦の甘みがはっきりと感じられる味わいとなっており、バナナのようなフルーティーな風味もあります。
レダイグやカリラと同率の順位になる30ppm～35ppm銘柄は他にも存在するため、40ppmに届かないウイスキーからピート香のあるウイスキーを探すなら自分の好みに合う銘柄を選んでみましょう。
フェノール値から考えるピート香のあるウイスキーのおすすめ銘柄
ウイスキーのピート香をフェノール値の強い順にランキングにしましたが、25ppm程度の普通の強さのピート香を持つ銘柄や、10ppm程度のピート香への入門となるウイスキーを知りたい方もいることでしょう。
最後に、フェノール値から考えるピート香のあるウイスキーの中でもおすすめ銘柄を紹介します。
- ボウモア 12年（25ppm）
- タリスカー 10年（18～22ppm）
- カネマラ オリジナル（14ppm）
- ハイランドパーク 12年（10ppm）
- 白州（5ppm）
ボウモア 12年（25ppm）
画像引用：https://www.suntory.co.jp/whisky/bowmore/products/
ボウモア 12年は、アイラウイスキーをはじめピート香のある銘柄の入門酒になるといわれることがあるフェノール値25ppmの中程度のスモーキーさを持つ銘柄です。
個性のあるスモークを持ちながらもバランスのいい味わいに仕上がっており、すっきりとして飲みやすい口あたりになります。
ピート香の強い銘柄に興味があっても最初は極端に強い銘柄に挑戦するが不安な方はボウモアから挑戦するのも選択肢のひとつです。
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タリスカー 10年（18～22ppm）
画像引用：Amazon.co.jp
タリスカー 10年は、フェノール値が18ppm～22ppm前後ではありますが、個性の強い味わいが特徴的です。
スモーキーな香りと、黒コショウのようなスパイシーさがあることが特徴であり、ピート香を含めた個性が際立つ銘柄になります。
スモークの強さではランキングで紹介したウイスキーには劣るものの、個性では負けていないシングルモルトになります。
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カネマラ オリジナル（14ppm）
画像引用：https://products.suntory.co.jp/d/5099357002305/
カネマラ オリジナルは、アイリッシュウイスキーでは珍しいピート香を持つ銘柄であり、14ppmのフェノール値を持ち、他のアイリッシュにはないスモーキーさがあります。
スモークはハーブのようなアロマが香り、はちみつのような甘い味わいとナッティな風味が特徴的です。
アイリッシュウイスキーでスモーキーさを味わうなら、カネマラは非常におすすめになります。
ハイランドパーク 12年（10ppm）
画像引用：Amazon.co.jp
ハイランドパーク 12年は、ハイランドパーク蒸溜所で製造される10ppmの弱いスモーク香を持つ品質にこだわった銘柄です。
スモーク香が余韻に至るまで非常に優しく、甘みと苦みがあるチョコレートのような味わいと、フローラルでフルーティーなアロマが特徴です。
ピートスモークが苦手な人でも飲みやすく、完成度の高い味わいであることから、一度もスモーキーなウイスキーを飲んだことがない方におすすめになります。
白州（5ppm）
画像引用：https://products.suntory.co.jp/d/4901777233911/
白州は、ジャパニーズウイスキーの中でも5ppmのフェノール値を持っているウイスキーであり、ほのかなスモーキーフレーバーを備えています。
ピート香は緑を感じるさっぱりとした香りと味わいに大きく貢献しており、個性が重なり合うことで生まれる複雑さが特徴です。
スモークはあるもののキツいと感じにくいことから、ピート香が本当に苦手な人でも飲みやすいフェノール値が10ppmを下回る基準の銘柄といえるでしょう。
まとめ
ピート香の強いウイスキーをランキング形式で紹介し、最強のスモーキーさを持つ銘柄を解説しましたが、気になるボトルは見つかりましたか？
ウイスキーのピート香は最初は抵抗があってもヤミツキになりやすいため、弱いスモークに慣れてくると強いピート香を持つ銘柄を求めたくなるものです。
一方で、ピート香に興味はあってもまだ飲み慣れておらず不安がある場合は、いきなり40ppm以上のウイスキーに挑戦するのではなく、10ppm～25ppm程度のウイスキーから挑戦することもおすすめです。
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