今回は、「イチローズモルト」を手掛ける秩父蒸溜所への単独インタビュー記事の第3弾となります!
第3弾となるこちらの記事では、ベンチャーウイスキー・吉川さんの好きなウイスキー、ウイスキーを飲み始めた方に向けてについてお聞きしています。ウイスキーの飲み方について、ウイスキーで注目すべきポイントなど、飲み手の方々には是非ご一読いただきたい内容となっています! 第1弾・第2弾はこちらから! 第1弾 第2弾
肥土伊知郎氏が創業したベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所。2008年2月に稼働を始めた同蒸溜所は、スコッチウイスキーの伝統的製法に秩父の風土を取り入れた個性あふれるウイスキー造りを行っています。 秩父蒸溜所の手掛ける「イチローズモルト」は、世界最高峰のウイスキーの品評会「ワールド・ウイスキー・アワード」で5年連続世界最高賞を受賞。現在のジャパニーズウイスキーの隆盛をけん引する存在です。 秩父蒸溜所についてはこちらから
株式会社ベンチャーウイスキーのグローバルブランドアンバサダー・吉川由美さんにお話をお伺いしました。 吉川さんは、2019年に「世界のウイスキー業界に著しい貢献を果たした人物」としてワールドウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実績もあります。
Dear WHISKY: 吉川さんがウイスキーを好きになったきっかけについて教えてください。
吉川さん: 元々、カクテルなどに憧れてバーテンダーの仕事をしていました。その中で、熟成酒であるウイスキーの面白さに触れたことがきっかけです。 ウイスキー造りは、建設業などに近い感覚もあるのかなと思っており、自分たちの造ったものが今日・明日にすぐ製品として完成するわけではありません。長い年月を必要とし、また次の世代まで残っていくからこそ、その背景にある文化や造り手の想いなどに面白さがあると感じました。
Dear WHISKY: ウイスキーの味や香りだけでなく、その背景にある文化や造り手の想いなどに惹かれたんですね。
吉川さん: 当時、日本でウイスキーについての本などを読んだりもしていましたが、ウイスキー造りの背景や文化などを理解していないと本質的にウイスキーの事を理解することはできないなと思いました。そこで、実際にスコットランドに足を運んで蒸溜所巡りをしたことがきっかけとなり、ウイスキー業界を志すようになりました。 ウイスキーは製造に関わる全ての人の想いが折り重なって最終的な製品となります。 勿論ウイスキー自体の味わいも好きですが、それと同じくらい背景にある文化・人が面白いなと感じています。
Dear WHISKY: 吉川さんが特に好きなウイスキーを教えてください!
吉川さん: 私がウイスキーを飲み始めた頃によく飲んでいたのは、イエローローズオブテキサスというバーボンウイスキーです。最初にイエローローズオブテキサスを飲んだ時に「ウイスキーってかっこいいな」と感じた思い出があります。今でもBarであったらつい飲んでしまうウイスキーですね。
Shigematsu & Co.,L.T.D. – http://www.shigematsu.jp/
Dear WHISKY: スコッチでお気に入りのウイスキーはありますか?
吉川さん: スコッチでは、なかなか1つに絞れないのですが、グレンフィディックは好きな蒸溜所の一つです。世界中で目にすることができて、規模に拘らず変わらぬ品質を維持し続けていることは心から尊敬しています。
Dear WHISKY: ジャパニーズウイスキーの中でお気に入りのウイスキーについても教えてください!
吉川さん: 秩父はもちろんの事お気に入りはた沢山ありますが、サントリーの白州蒸溜所にはスコットランドでの特別な思い出があります。私がまだあまり日本のウイスキーの素晴らしさに気付けていない時期にスコットランドに行き、白州のウイスキーを飲んだ際に、日本のウイスキーの美味しさを再確認しました。ただ、当時は日本のウイスキーが世界であまり知られていなかったので、せっかくこんなに良いものを造っていても誰か伝える人間がいないと世界にアピールすることができないんじゃないかと感じました。それが日本の業界に戻ってくるきっかけにもなりました。
Dear WHISKY: ウイスキーには様々な飲み方があると思いますが、ウイスキーを飲み始める方に向けて、おすすめの飲み方について教えてください。
吉川さん: ウイスキーは自由な飲み物であっていいと思っています。飲み手としても造り手としても、色々な飲み方に是非チャレンジしてみてほしいと思っています。 実際に商品によっては、ハイボールに合う商品もあったり、ハイボールにすると味が崩れてしまう商品などもあります。しかし、メーカーが消費者にこの飲み方で飲むべきですと伝えるのではなく、飲み手の方に自分の好きな飲み方を探してみてほしいと思います。
Dear WHISKY: 自分に合った飲み方を探すこともウイスキーの醍醐味の一つなんですね!
吉川さん: どの飲み方が適しているかを探すこともウイスキーの醍醐味の一つです。「これはハイボールにしたら失敗しちゃったな」というのも一つの経験ですし、ウイスキー愛好家への一歩に繋がると思います。ウイスキーを飲み始めた方には、固定概念に囚われることなく自由に色々な飲み方を試してみて、自分はストレートが好きだ、ロックが好きだ、という風に自分好みの飲み方を探していってほしいなと思います。
Dear WHISKY: ちなみに吉川さんはどんな飲み方でウイスキーを飲むことが多いですか?
吉川さん: 初めて飲むウイスキーは必ずストレートで1口、2口は飲むようにしています。 その後、お水を1滴づつ入れていって、これはハイボールでも美味しそうだなと感じたら、次はハイボールで飲んでみたりします。 ただ、食事と合わせるときはストレートというより水割りやハイボールが多いですね。また、冬の寒い時期などはお湯割りでも楽しんでいます。
Dear WHISKY: やはり、ウイスキーの個性に合った飲み方を探しながら飲むことが大事なんですね。 ウイスキーのお湯割りはあまり聞いたことがありませんでした!
吉川さん: 冬場の寒い時期にお店でお湯割りを頼んでみたことがきっかけでお湯割りの面白さに気づきました。 また、昔、京都のバーにお伺いした際に、マスターがウイスキーをお水と併せて温めたものを提供してくださったことがあります。本来のウイスキーの味わいや甘みを感じることができて本当に美味しかったです。 お湯割りで飲むウイスキーもとても面白いので是非試していただきたいです。
Dear WHISKY: そうなんですね!ウイスキーのお湯割り、飲んでみたいと思います!
Dear WHISKY: ウイスキーを飲む際に特に注目すべきポイントがありましたら教えてください。
吉川さん: どの飲み方でも、香りはもちろんなのですが、特にフィニッシュを意識して飲んでみていただきたいと思います。 飲み始めのインパクトも面白いんですが、飲み終えた時の余韻に注目してみると、より一層ウイスキーを楽しむことができます。飲み終えた後の長く続く余韻、余韻の風味の変化などはウイスキーの最も魅力的な部分の一つだと思います。
Dear WHISKY: フィニッシュにそのウイスキーの魅力が現れるんですね。今後はフィニッシュを意識して飲むようにします!
吉川さん: そうですね。また、5分くらい少し時間をおいてからウイスキーを飲むと随分香りが変化していて、それがフィニッシュに如実に現れたりします。 良いウイスキーというのは余韻が長く展開があります。ただ飲むだけではなく、飲んだ後の余韻を是非意識してみてほしいと思います。
Dear WHISKY: 最後に、Dear WHISKYの読者の方に向けてメッセージをお願いします!
吉川さん: 蒸溜所の在りたい姿として、好きなアーティストのような蒸溜所になりたいなという風に考えています。 私も個人的に好きなアーティストがいて、よくライブなどにも行くのですが、その人の出す曲が全部好きかいうとそうではなくて、気に入ってずっと聞き続ける曲もあれば、苦手な曲もあったりします。それでもやはり、ライブがあるとついつい足を運んだり、そのアーティストが出す曲を毎回チェックしたりしてしまいます。 蒸溜所にも似ている部分があるなと感じています。ウイスキーは嗜好品なので好きな味もあれば苦手な味もありますので、蒸溜所の出す製品を全て好きになってもらう必要はありません。 蒸溜所の出す製品を追いかけていきたいなと飲み手の方々に思ってもらえる蒸溜所になれるかどうかが大事だと思っています。 読者の方には、秩父蒸溜所のウイスキーを追いかけたいなと思ってもらえたら嬉しい限りです。色々な製品を出していますので、是非秩父のウイスキーを色々試していただいてお気に入りを見つけていって貰えればと思います。
業界全体としてはジャパニーズウイスキーが100周年を迎える節目の年として、自分たちの住んでいる日本という国が美味しいウイスキーを造っていること、それを長年支えてきた会社がいくつかあり、その上で業界が成り立っているということをこの機会に改めて知っていただけたらと思います。 また、常に飲み続けてくださる方々がいるからこその業界です。これまでの100年を次の100年を続けていくためにも、応援するウイスキーを見つけ、コンスタントに飲み続けていただきたいなと思います。
Dear WHISKY:本日はありがとうございました!
以上、株式会社ベンチャーウイスキーのグローバルブランドアンバサダーの吉川由美さんへのインタビューでした。 日本のウイスキー業界全体について・秩父蒸溜所の造るウイスキーについてなどから、ウイスキーを飲み始めた方に向けた内容まで多岐にわたるお話をお伺いすることができました! コアなウイスキー好きの方も、ウイスキーを飲み始めたばかりの方にとってもお楽しみいただける内容だったのではないでしょうか? お読みいただきありがとうございました! 秩父蒸溜所の紹介ページはこちらから
ウイスキーカスクの購入、Barでの取り扱い、取材・インタビュー、事業提携のご相談などお気軽にご連絡ください