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【独占インタビュー】イチローズモルトを手掛ける秩父蒸溜所へインタビュー!<第1弾>

2022.12.21 / 最終更新日:2024.02.28

今回は、「イチローズモルト」を手掛ける秩父蒸溜所へ独占インタビューを行ったのでその様子をお伝えします!
第1弾となるこちらの記事では、蒸溜所の方から見た現在の日本のウイスキー業界についてお聞きしています!(今回のインタビューは、第1弾・第2弾・第3弾に分けてお届けします!)
ぜひ最後までご覧ください!そして、第2弾と第3弾も公開したので、そちらもご覧ください!

併せてお読みください!

秩父蒸溜所

秩父蒸溜所の位置づけ

肥土伊知郎氏が創業したベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所。2008年2月に稼働を始めた秩父蒸溜所は、スコッチウイスキーの伝統的製法に秩父の風土を取り入れた個性あふれるウイスキー造りを行っています。
秩父蒸溜所の手掛ける「イチローズモルト」は、海外の品評会でも多数の最高賞を受賞をするなど、現在のジャパニーズウイスキーの隆盛をけん引する存在です。

秩父蒸溜所の工場内の様子

株式会社ベンチャーウイスキー
吉川由美さん

株式会社ベンチャーウイスキーのグローバルブランドアンバサダーである、吉川由美さんにお話をお伺いしました。
吉川さんは、2019年に「世界のウイスキー業界に著しい貢献を果たした人物」としてワールドウイスキー・ブランド・アンバサダー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実績もあります。

インタビュー

100周年を迎えるジャパニーズウイスキー

Dear WHISKY:
2023年にジャパニーズウイスキーが100周年を迎えます。

近年ジャパニーズウイスキーは国際的な人気を博していますが、ジャパニーズウイスキーが100周年を迎えることについて、率直にどう感じていますか?

吉川さん:
やはり、ジャパニーズウイスキー100周年を迎えるにあたって、忘れてはいけないのは、今までのウイスキー業界を支えてきた先人の会社・造り手さんたちの存在だと思います。
スコットランドと日本の業界だけを見ても、1980年代から90年代にかけての時代は、随分と蒸溜所の閉鎖が続いていたり、1990年代から2000年代は、多くの蒸溜所が稼働停止しているような状態が続いてたと思います。

Dear WHISKY:
いわゆる、冬の時代のことですね!

吉川さん:
そんな中現在まで歴史を繋げる誰かがいなければ100周年を迎える事は出来ません。
現在は、秩父蒸溜所を含め多くの新興蒸溜所が増えてはいますが、その多くは、その前に創業当初からウイスキー造りを続け歴史を繋いできた方々のおかげかなと感じます。
ですので、100周年というのはとてもめでたい事でもありますが、100年間、ずっとウイスキーを造って来られた会社に対する感謝の気持ちが大きいです。

Dear WHISKY:
お話にもありましたが、日本のウイスキー業界は1980年代後半〜2000年代にかけて冬の時代であったと言われています。そのような時代から、現在のようにジャパニーズウイスキーの人気が高まり、国際的にも高く評価されるようになった要因について、どのようにお考えですか?

吉川さん:
1番目に見える分かりやすい要因としては、世界の品評会でジャパニーズウイスキーが賞をとったということかなと思います。
ただその背景に、日本では、世界中のウイスキー愛好家が納得するような品質のウイスキーを造り続けてきた過程があります。スコッチウイスキーの業界と比べると日本の業界はまだ年数が浅いかもしれませんが、100年の歴史の中で品質を高め続けてきた結果が、ようやく表れ始めているのかなと感じています。

Dear WHISKY:
100年という他のウイスキー業界と比べると短いですが、質を高めたことで5大ウイスキーに入ることができたということですね!

吉川さん:
あとはやはり、1980年代には国内市場を中心にウイスキーを販売していましたが、1990年代から2000年代くらいにかけて、海外への輸出も少し視野に入ってきたという事も要因として挙げられると思います。海外への輸出が増え、世界中のより多くの方々にジャパニーズウイスキーの品質を知っていただく機会が増えたのかなとも思っています。

Dear WHISKY:
日本のウイスキー業界の前人の方々が積み上げてきたものが、今評価される段階に入っているということですね!

吉川さん:
そうですね。1980・90年代に比べ情報を得やすくなったというのが大きいかなとも思っています。国境など関係なく情報を得られるようになっている時代ですので、高い品質やウイスキー造りに対する姿勢についても評価されやすい時代になっているのかなと感じます。しかし、逆に言うと、評判を下げてしまうような品質のものでも世界に知られやすくなったとも言えると思います。情報が広く知れ渡るようになった世の中というのは、諸刃の剣のような部分もあり、自分達の品質・姿勢を改めて確認し直す必要もあるのかなと感じています。

ウイスキーの味わい

Dear WHISKY:
初歩的な質問になってしまいますが、ウイスキー造りにおいて特に味わいに影響が出やすい工程はどのような部分でしょうか?

吉川さん:
ウイスキー造りで重要な部分を簡潔に答えるのは、とても難しいなと今でも感じています。笑
実際に様々な会社の造り手さんにも色々お話を聞くんですが、一つ一つの工程での小さな違いが積み重なって最終的な品質の違いを造るというのが、今感じている答えです。

Dear WHISKY:
具体的にはどのような所が影響されますか?

吉川さん:
具体的に言うと、大麦の品種や発酵条件、蒸溜時のコンデンサーの温度などの細かい部分が影響してくるのですが、それを各社がどのように手を抜かずに積み重ねていって、最終的なウイスキーという製品に繋げるかというプロセスが、品質の良し悪しを決める上で重要な部分だと思います。
一つ一つの工程を手を抜かずに細かく丁寧に造っていくためには、造り手や会社の人間性やフィロソフィーであったり、その背景にある文化などが重要になってくると思います。ですので、漠然とした答えにはなってしまいますが、日本のウイスキー・良い品質を保った蒸溜所さんというのは、造り手や会社の姿勢やフィロソフィーが文化を背景に育ってきているのかなと思います。

Dear WHISKY:
他の国とは少し違った、日本独特の文化などもウイスキー造りに影響している部分がありそうですね。

吉川さん:
そうですね。実際にウイスキーを造ったり、飲んだりしてみても、文化というのは大きく反映されているなと実感しています。

増加する新興蒸溜所

Dear WHISKY:
近年、世界的にもクラフト蒸溜所がトレンドとなっていて、日本でも多くの蒸溜所が新たに開設されていると思います。この流れについてはどう感じていますか?

吉川さん:
面白い時代になったなというのが率直な感想です。
ウイスキーの愛好家さん達とお話しても、10年前・20年前は、50年代・60年代のウイスキーが安く飲めた時代でうらやましいというようなお話もよくするのですが、逆に考えてみると、これほど新興系の蒸溜所が世界中で立ち上がっている時代というのは、今までには無かったので、多くの新しい蒸溜所が誕生していって、今後どのように残っていくのかというのを見られるという点で、とても面白い時代を生きているなと感じます。

Dear WHISKY:
確かに、以前はウイスキーが安価で飲むことができる時代でしたね。

吉川さん:
また、ある程度数が無いとカテゴリーとして成立しない部分があります。日本のウイスキーというカテゴリーをしっかりと造っていくためには、1社・2社では十分ではないと思います。より良い品質のものを造る生産者が、一定数存在して、そのカテゴリーが確立するということを考えると、良い品質のものを造る生産者が増えることはとても良いことだと思います。ただ一方で、数があれば良いということでもないので、10年・20年かけて精査され、残っていくところは残っていくというような将来がウイスキー業界としても望ましいのかなと思います。

第2弾へ続く!

以上、秩父蒸溜所へのインタビュー記事第1弾でした!
第2弾では、秩父蒸溜所・秩父蒸溜所の造るウイスキーについて深くお聞きしていきます!
是非お楽しみに!

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