今回は、熊本県で2022年4月16日にグランドオープンした山鹿蒸溜所へ単独インタビューを行ったのでその様子をお伝えします! 熊本県初のモルトウイスキー蒸溜所としての取り組みや思い、その詳細について取材させていただきました。 インタビューでは山鹿蒸溜所の副社長の藤本様と、広報の本坊様にお話を伺っています。 第1弾となるこちらの記事では、オープンの経緯や現在の原酒についてお聞きしています! (今回のインタビューは、第1弾・第2弾に分けてお届けします!)
第2弾の記事はこちらから!
熊本県北部の山鹿市に位置し、冬場は-5度、夏は40度という寒暖差の極めて大きい環境にある山鹿蒸溜所。 郷土芸能・山鹿灯籠踊りなど独自の伝統文化が根付く山鹿の地で、今新たにウイスキー事業に挑戦する蒸溜所です。 山鹿蒸溜所についてはこちらから
Dear WHISKY: 山鹿蒸溜所さんがウイスキー事業に取り組もうと思ったきっかけは何ですか?
藤本さん: 山鹿蒸溜所が立つこの地は、古くから前身の関連会社が日本酒や焼酎などを製造してきました。 そして当社が属しているMCAホールディングスグループは、現在も焼酎やワインを製造する事業会社があり、蒸留や樽熟成に関する知見をもっています。 また、世界的に評価されている本坊酒造マルスウイスキー様が関係会社であり、その知見やノウハウをアドバイスいただくことができたため、我々も世界に認められるような高品質のウイスキーを造りたいという思いから、2021年から事業に参入しました。
Dear WHISKY: 先ほど前身が焼酎の製造を手がけていたとおっしゃいましたが、焼酎製造が盛んな熊本県における初のモルトウイスキーの蒸溜所としての思いは何ですか?
藤本さん: まずはモルトウイスキーとはどのようなものかということを、ここ山鹿から発信したいという思いがあります。 熊本県には焼酎をはじめ日本酒、ワイナリーなど身近な企業はあっても、モルトウイスキー蒸溜所はありませんでした。これまでウイスキーに触れる機会は少なかったのではないかと思います。 そのような意味でも、熊本初のモルトウイスキー蒸溜所として、丁寧にご説明させていただきながらウイスキーを認識していただきたい、もっと知っていただきたいという思いです。
Dear WHISKY: ウイスキーを作り始めるにあたって苦労した点などはありますか?
藤本さん:
そうですね。ウイスキー製造をスタートするにあたり、焼酎造りの経験はあってもウイスキー造りに従事した技術者は一人もいませんでした。 そのため、マルス信州蒸溜所、マルス津貫蒸溜所において技術研修として社員を受け入れていただき、また蒸溜所建設にあたっても設備の設計段階からアドバイスをいただきました。 スタートした後も、原酒の酒質レベルの向上や酒質安定という点では苦労があります。
Dear WHISKY: 酒質の安定においてはどういったところが難しいのでしょうか?
藤本さん: ウイスキーはただ単に美味しい原酒を造るだけではなく、樽を選定したうえで年数をかけて熟成させ、その後ブレンドするという長い年月と複雑な工程があります。 つまりそこまで考えたうえで原酒造りしておかないと、3年後、10年後に私たちが目指すウイスキーが出来上がらない訳です。将来を見越したうえでの原酒造りが非常に難しいというところがありました。
Dear WHISKY: 山鹿蒸溜所さんは最近ニューボーンを完成させたと聞きますが、現時点での原酒は理想とされてる味と比べてどのように思われますか?
本坊さん: 私たちは灯籠踊りを踊られている女性をイメージした、優しく綺麗な中に力強さを感じられるようなウイスキーを目指しております。 ウイスキーの原酒はアルコール度数が60度近くになり、強いイメージがあるようですが、山鹿蒸溜所の蒸溜器の特徴が良く表れているのか、スムーズで優しい甘味を感じられるニューボーンとなったと思います。
Dear WHISKY: これから何年熟成のウイスキーをリリースされる予定ですか?
本坊さん: ジャパニーズウイスキーは3年以上の樽熟成が定義づけられてますので、初めてのシングルモルトジャパニーズウイスキーは2025年末から2026年にかけてリリース出来ればと思っております。 また、多くの皆様が山鹿蒸溜所のウイスキーを楽しみにしてくださっていますので、昨年に続き今年、来年も3年未満熟成のニューボーンをお届けできればと考えております。
Dear WHISKY: すごく気になりますね!そのニューボーンはどのような味なのですか?
本坊さん: 昨年リリースしたニューボーンはバーボン樽で7カ月熟成した原酒を選びましたので、特有のバニラのような甘味に加えて、生クリームやクレームブリュレのようなクリーミーさも特徴的でした。金木犀のような優しい香りも感じられるブレンドです。 今後熟成するにつれてこうした特徴は強くなっていくと思われますので、期待しています。
Dear WHISKY: こちらのニューボーンは一般の方でも購入できますか?
本坊さん: 昨年のニューボーンは3421本限定でしたが、残念ながら蒸溜所併設のショップではすでに完売しております。今後のニューボーンを楽しみにお待ちいただければと思います。
Dear WHISKY: 熟成年数が一年未満なのにニューボーンが美味しく仕上がったことは、山鹿の気候や寒暖差とも関係はありますか?
本坊さん: 山鹿は、夏場は40度以上、冬場はマイナス5度以下と、寒暖差が激しい盆地です。この寒暖差の大きさが熟成スピードに影響し、短い熟成期間でも満足いただけるニューボーンとなったのだと思われます。
Dear WHISKY: 熟成に使う樽にはどのようなこだわりがありますか?
本坊さん: 基本的な樽としてバーボン樽、シェリー樽を使用しており、さらに新樽やワイン樽もあります。また、山鹿は西日本一の栗の産地としても有名ですので、地元の栗の木の樽を使用したウイスキーも実現できればと思っています。
Dear WHISKY: 栗樽というのは初めて聞いたので、完成したらとても面白そうですね!
第2弾へ続く!
以上、山鹿蒸溜所の藤本さん、本坊さんへのインタビューでした。 山鹿の原酒の味わい、とても魅力的で完成が待ち遠しいです。 第2弾では、ウイスキー製造で力を入れていること、ジャパニーズウイスキー100周年への思いや山鹿蒸溜所の今後について深くお聞きしていきます! 是非お楽しみに!
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