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【独占インタビュー】月光川蒸留所 創業190年を誇る楯の川酒造がウイスキー製造に向け始動!

2022.07.16 / 最終更新日:2023.07.12
【独占インタビュー】月光川蒸留所 創業190年を誇る楯の川酒造がウイスキー製造に向け始動!

鳥海山の伏流水による湧水が豊富で「水の街」として知られる山形県遊佐町に、月光川蒸留所が設立される。事業を手掛けるのは、江戸時代末期の1832年に創業の老舗酒造「楯の川酒造」だ。

 

楯の川酒造株式会社公式ホームページ

楯の川酒造株式会社とは

代表取締役 佐藤淳平(六代目蔵元)様

楯の川酒造は、山形県酒田市に位置し、天保三年(1832年)創業の歴史ある酒蔵である。六代目蔵元で、代表取締役の佐藤淳平さんは、「楯野川」「光明」といった純米大吟醸に特化した蔵として事業を拡大している。伝統的でベーシックな日本酒に加え、高精白とヴィンテージの新しい価値を生み出した日本酒や日本酒飲用を通じて、田園風景を守ることに貢献すべく「稲作指標」を取り入れた新ブランド、さらにヨーグルトと日本酒を掛け合わせた商品など、高品質で挑戦的な商品を創出してきた。メイドインジャパンのお酒を世界に届ける事を目指す同社はこの度、世界的な人気を博しているジャパニーズウイスキーの製造に挑戦することを決定した。

日本酒酒蔵がジャパニーズウイスキーにかける思い

ウイスキー事業を開始した経緯について教えてください。

楯の川酒造:当社は、メイドインジャパンのお酒を世界に広める事を目標にしています。日本酒だけでなく、ウイスキーやリキュールを造ることで、より世界を見据えた事業展開をしていきたいと考えています。特に、ウイスキーは年々輸出量・輸出金額が大きく伸びています。ジャパニーズウイスキーには大きなチャンスがあると考えました。

楯の川酒造ならではのウイスキーを

確かに近年のジャパニーズウイスキーの人気はすごいですよね!
蒸留所やウイスキーのコンセプトなどは決まっているのでしょうか?

楯の川酒造:蒸留所のコンセプト開発と設計には、建築家兼美術家の佐野文彦氏が携わっています。ウイスキーの熟成という時の流れと経年変化する木材を重ね、関わる人達と「共に育てる」事をコンセプトとしたデザインを検討しています。
ウイスキーに関しては、ピュアでエレガントなウイスキーを造りたいと考えています。楯の川酒造は洗練された、とにかく「綺麗」という言葉がぴったりの日本酒を造っています。それを軸として、ウイスキーも同様に綺麗な酒質のものを造っていく予定です。原料は地元庄内産のものを使っていきます。既成概念とは少し違う、日本酒造りの知見・蔵人ならではの感性もウイスキー造りに役立てていきたいですね。

日本酒とウイスキー

日本酒造りとウイスキー造りで共通する部分はなんでしょうか?

楯の川酒造:原料処理に関しては、これまで精米歩合50%以下の純米大吟醸に特化し、精米歩合1%の商品も開発してきたので、繊細な醸造技術や職人的な感覚を持っています。精密な原料処理の技法は、ウイスキー造りにも活かせると考えています。また、発酵に関しても、ウイスキーの方が高温で行う必要がありますが、共通する部分はあります。実際にやってみなければ分からないことも多いですが、日本酒造りの経験は必ず活きてくると思います。

立地へのこだわり/リリース予定

蒸留所開設にあたって、特に苦労した点はありますか?

楯の川酒造:場所を見つけることが大変でした。地下水の水質にこだわりながら、蒸留に必要な水量を確保できる場所、景観が良い場所ということで、場所選びに2〜3年ほどの時間がかかってしまいました。

2~3年ですか!?それは大変でしたね!決め手は何だったのでしょうか?

楯の川酒造:月光川蒸留所の近くには、月光川という川が近くに流れています。月光川の水系の地下水はかなりの軟水で、綺麗で柔かいことで有名です。質の高い水源を確保できるということは大きなポイントでした。

なるほど。軟水の綺麗な地下水が仕込み水となるのですね。2023年の秋頃に蒸留開始の予定とのことですが、初リリースは何年頃を予定していますか?

楯の川酒造:ブレンデットは2024年予定で、オリジナルのシングルモルトは2027年あたりになる見込みです。
シングルモルトは少し寝かせてから出す予定でいます。未定ですがほかの販売案も検討しています。

とても楽しみですね。完成が待ち遠しいです!

ウイスキー造りと気候

ウイスキー造りは製造過程がシンプルで、気候や一つ一つの原料が出来を左右すると言います。
庄内の気候が月光川蒸留所のウイスキー造りに与えていく影響については、どうお考えですか?

楯の川酒造: スコットランドやアイルランドは、かなり緯度が高く気温が低いため熟成に時間がかかります。一方、日本はそこまで緯度が高くないため、積算温度で考えると日本の方が熟成に時間がかからないと考えています。さらに、台湾でもウイスキー造りが盛んになってきていることから、これから徐々に暖かい地域でのウイスキー造りが多くなるのではないかと考えています。また、月光川の地域は夏と冬の寒暖差が大きいのが特徴です。その寒暖差がウイスキー造りにどう響くのか、今後検証していこうと考えています。

遊佐町とウイスキー

ウイスキー造りの準備を進めるなかで、ウイスキー業界の横の繋がりを感じることありますか?

楯の川酒造:月光川蒸留所の予定地のすぐ近くに金龍さんの遊佐蒸留所がありますが、事前に蒸留所の設立の相談をしたところ、歓迎してくださいました。遊佐町はかなり小さい街なのですが、ここに蒸留所が2つできるということは、中々面白いことなので、ウイスキーの町として盛り上げれるいいねと言葉をかけてくださいました。

新たな観光資源の一つとして、地域活性化にも大きな影響が予想されますね。

楯の川酒造:そうなんです。蒸留所の見学やテイスティングを積極的に行ったり、近くの施設と連携しイベントなどを開いたりすることで、観光客の呼び込みにも役に立てればと考えています。また、遊佐町は水が綺麗な街として知られています。ウイスキー造りは町のイメージとも上手くマッチすると考えています。

水の街でウイスキー造り、素敵ですね!

遊佐町の風景

ジャパニーズウイスキーを世界へ

ウイスキーの販売先は国内、国外どちらを想定していますか?

楯の川酒造:基本的にウイスキーは海外をメインに販売していく予定です。生産量があまり多くないため、希少なウイスキーとしてブランディングしていきたいと考えています。中国を含め全世界へ発信していきたいです。

ジャパニーズウイスキーを世界に広めていく上での課題は何でしょうか?

楯の川酒造:去年、ジャパニーズウイスキーのガイドラインが出来ました。しかし、原材料が海外から調達していることが多く、樽や水は国内のものを使用していてもそれ以外は海外産だったりするため、テロワールとは中々言いにくい状況です。いかに上手く国内産の原料を使っていくかが重要だと考えています。

今後の展望

今後の展望や、読み手に伝えたいことはありますか?

楯の川酒造:今後の展望に関しては、まずファンを作っていくことだと考えています。自分達のスタイルを5年ほどかけて作っていき、観光客が来てくれるような体制やイベントを進め、ファンを増やしていけたらと思います。

月光川蒸留所 完成イメージ図

楯の川酒造:日本酒製造の経験、原材料の加工技術などを活かして、出来るだけ高品質なウイスキーを作っていきたいとも考えています。派手なウイスキーではなく、繊細でやわらかなウイスキーを作りたいです。

日本酒蔵ならではのウイスキーを楽しみにしている方は多いと思います! 今回はありがとうございました。
続報がありましたらまたお願い致します!

 

月光川蒸留所の詳細はこちら

 

月光川蒸留所概要

【社名】月光川(がっこうがわ)蒸留所株式会社 (楯の川酒造株式会社子会社)
【蒸留所名称】月光川(がっこうがわ)蒸留所
【建設予定地】山形県飽海郡遊佐町
【HP URL】https://distillery.gakkogawa.com/
【SNS】Instagram @gakkogawa2021 / Twitter @gakkogawa

 

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