100年以上前からウイスキー製造にかかわり続けている江井ヶ嶋蒸留所。 スコットランドから輸入した大麦や地下水脈から生産された水を使用し、商品を造り続けている江井ヶ嶋蒸留所に独占インタビューを行ってきました。
第1弾では江井ヶ嶋蒸留所のウイスキー製造についてお話を伺いしました。 第2弾では蒸留所の方から見た現在の日本のウイスキー業界と今後の江井ヶ嶋蒸留所に焦点を当てていきます。 長年ウイスキー製造に携わっていた江井ヶ嶋蒸留所だからこその想いを知ることができる記事ですぜひ最後までご覧ください!
第1弾はこちらから
Dear WHISKY: 日本のウイスキー業界は1980年代から2000年代にかけて冬の時代だったといわれています。 そのような時代から、現在のようなジャパニーズウイスキーの人気が高まったことの要因について、どのようにお考えですか?
大川さん: 大きく要因は2つで、1つはサントリーさんのハイボールブームで、もう1つは世界的な賞をジャパニーズウイスキーが獲得したからだと考えています。 2007年か2008年にサントリーさんがハイボールを発売されそれが普及したこと、それに加えニッカウヰスキーさんとサントリーさんが海外で賞を獲得したことがきっかけで、ジャパニーズウイスキーに対する品質の高さが世界中から集まったことがジャパニーズウイスキーの人気上昇につながったのではないかと思います。
Dear WHISKY: 長年ウイスキー製造をしている江井ヶ嶋蒸留所さんにとって、冬の時代をこえて現在では人気を博しているウイスキーについてどのように感じていらっしゃいますか?
中村さん: そうですね、当初から弊社は清酒とウイスキーの2本立てているのですが、冬の時代になる10年くらい前から清酒もウイスキーも売り上げが落ちていくので、正直会社として利益はほぼなかったと思います。いまはウイスキーブームということもあり、会社の利益も上がっているようです。
Dear WHISKY: 今までの先人があきらめずにウイスキーを造ってきたからこそ、今のジャパニーズウイスキーだったり江井ヶ嶋蒸留所さんがあるってことですね。
大川さん: 本当にその通りですね。弊社は途切れずに長年ウイスキー製造を行ってきました。 しかし少ないときは1ヶ月くらいしか造っていないことも多かったようです。
Dear WHISKY: 2023年にジャパニーズウイスキー100周年を迎えましたが、江井ヶ嶋蒸留所さんとしてのお気持ちはいかがですか?
大川さん: ウイスキーはもともと外国でしか造られておらず、飲まれていなかったものなので、100年続いて発展しているのがすごくうれしくて、喜ばしく感じています。
Dear WHISKY: 経営の面でいうと苦しい時代で諦めてしまうところも多い中、1ヶ月でもとにかく続けようとするのがすごいなと感じました。 50年、100年先のジャパニーズウイスキーに向けての想いを教えてください。
大川さん: 我々、製造者は1年1年大事に良いものを造って次の世代に残していくのが仕事だと思い造っています。 50年たったときに「こういう想いで造っていたんだな」と思い出し、次の世代が飲んでくれたらうれしいと思います。
中村さん: 50年後というのはわからないけれど、20年や30年後くらいはまだ飲める年齢なので、少なくとも30年後会社として今と同様、あるいはそれ以上に発展しておいしいウイスキーを造りつづけてほしいです。そのために、次の世代を育てていきたいと思っています。 個人的なことですが、息子は今小学生ですが、成人になるころには自分が造ったウイスキーを飲ませてあげたいので、それまで頑張って元気に造れたらいいなと思います。 今年で100周年続いてきたジャパニーズウイスキーも1つの伝統産業だと思っているので、50年後の我々が飲めない江井ヶ嶋のウイスキーを若い世代には飲んでほしいとも思います。
江井ヶ嶋蒸留所看板
Dear WHISKY: Dear WHISKYのサイトの読者の方は、ウイスキーを飲み始めて間もない方からウイスキー愛飲家の方までいらっしゃいます。 ウイスキーを飲み始めて間もない方へオススメな飲み方などあれば教えていただきたいです。
大川さん: 全くウイスキー飲まれていない方だったりあまり飲んだことのない方には、手の届くところから試してみてもよいとも思うのですが、逆に1番いいものから飲んでほしいです。 弊社のシングルモルトのボトルを逆に最初に飲んで頂いたいて、強烈なインパクトがあるからウイスキーのおいしさや魅力っていうのを感じてほしいです。 ただ、シングルモルトのような高価なウイスキーは日常的には手が出しずらいと思われるので、安価なブレンデッドでハイボールやロックにして楽しんでいただくのがいいかなと思います。 弊社はブレンデッドからシングルモルトまで製造しているので、両方の飲み方で楽しんでいただけると思います。
Dear WHISKY: シングルモルトで飲む際はどのようなところに注目して頂きたいですか?
大川さん: 香りをテイスティンググラスなど使って嗅ぎ分けてもらうとブレンダーとしては大変うれしい限りです。 でもお酒を純粋に楽しんでもらいたいという想いがあるので、ご自身で好きなように飲んで頂けるのが1番だと思います。
中村さん: 本当に楽しんで飲んで頂けるのが1番だと思っております。 ただ同じハイボールを造るとしても柑橘系が入っている炭酸水を使うのではなく、ただの炭酸水だったりとトワイスアップと普通の水だったりを冷やして飲んでいただくのがおすすめです。 正直なところ、造り手としてどんな商品でも想いを込めてブレンドしているので楽しく飲んでくださいという結論になります。 高いウイスキーで楽しんでもらうってのもいいですし、安いウイスキーをハイボールにしてみんなでワイワイ楽しんでもらうのもいいと思っています。
Dear WHISKY: 実際にシングルモルト江井ヶ嶋SEXTETを造った時にどういうものをイメージして造られたのでしょうか?
大川さん: 一番意識したのは江井ヶ嶋蒸留所でしか造れないものをという部分です。やはりどこかで飲んだことのある味を造っても意味がないと考えていたので、江井ヶ嶋の味を出したいなという想いから、珍しい6種類のブレンドをいう形になりました。
Dear WHISKY: ちなみにどのような経緯から6種類のものを選ばれたのですか?
大川さん: ブレンドする樽の数を多くしすぎるとそれぞれの特徴がわからなくなります。それぞれの個性を感じられるベストが6種類だと考えました。 その他の樽については熟成年数やイメージから選択しました。
シングルモルト江井ヶ嶋 SEXTENT
Dear WHISKY: 今後江井ヶ嶋蒸留所をどのような蒸留所にしていきたいとお考えですか?
中村さん: 所長の立場としてウイスキーとともに後世も育てていきたいと考えています。それと個人的には自分がワクワク楽しいものをやっていきたいという感じです。自分の案を大川たちと意見を交わしながら作っていきたいです。 2023年には発酵槽で木桶を使います。こういう案も各々が単純に面白いという考えのもとお客様にも楽しんでいただけるようなお酒を造っています。 我々が入れる間は楽しんで進んでいきたいですし、我々が引退したあとも後世が樽を見守ってちゃんとした商品を造れるように育てていきたいと思っています。
大川さん: 私も同じで現状より品質を上げていきたいです。 造り手として常に今よりもレベルアップしていきたい、いいものを造っていきたいという想いを持っています。 そのためには自分だけでなく周りの従業員もレベルアップしていかないといけないので人を育てるのは大事だなと思います。
Dear WHISKY: Dear WHISKYの読者に向けてメッセージをお願いします!
大川さん: 今世界的にウイスキーブームで、スコッチウイスキーも増えていますし、ジャパニーズウイスキーも新しいもの、おいしいもの、高品質なものがどんどん出てきて、お客様もどれを買ったらいいかわからなくなるほど多くの種類にあふれていると思います。 その中で江井ヶ嶋蒸留所のものを手に取っていただけたら嬉しいなと思います。
中村さん: 今ウイスキーブームだと思うのですが、これが終わらずにずっとウイスキーを愛していただけたらと思います。 頑張っていいお酒を造るのは当たり前のことで、 ” お客様の心に残るようなお酒を造りたい ” という想いをもって造っています。 皆さんの思い出と一緒になれるようなお酒にできたらいいなと思いますので江井ヶ嶋蒸留所を今後ともよろしくお願いします。
2部にわたり江井ヶ嶋蒸留所についてご紹介してきました。 第1弾では、江井ヶ嶋蒸留所のウイスキー製造などについて詳しくお伺いしました。長い歴史や広大な敷地を持つ江井ヶ嶋蒸留所だからこその製造ポイントを知ることができました。 また第2弾では、蒸留所から見たジャパニーズウイスキー業界やこれからの江井ヶ嶋蒸留所についてお話をお伺いしました。 造り手の方の想いを深く知ることができ、さらに江井ヶ嶋蒸留所の魅力を知っていただくことができたのではないでしょうか? これからの江井ヶ嶋蒸留所がより一層、楽しみですね。 今回の取材にご協力いただいた中村さん、大川さん、ありがとうございました。
右から江井ヶ嶋酒造8代目社長の平石幹郎さん、所長の中村さん、ブレンダーの大川さん
最後に江井ヶ嶋蒸留所の会社概要についてご紹介します。 江井ヶ嶋蒸留所をご紹介させていただきましたページはこちらから!
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