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ウイスキーの製造方法は? 原料からボトル詰めまでの流れを解説

2021.11.12 / 最終更新日:2021.11.12

ウイスキーの原料が麦であることは知っている方も多いかと思いますが、どのように加工すれば香りと風味が豊かで琥珀色の美しいお酒になるのかを詳しく知っている人は多くありません。

製造工程において重要なのは熟成であり、蒸留させた原酒を樽の中で寝かせ、長い時を経て私たちがよく知るウイスキーに変化します。

また、ウイスキーの種類が異なる場合でも大まかな製造工程に違いはなく、いくつかの細かな違いが味わいを決定づけ差別化されているのです。

ウイスキーの製造方法を知れば、より深くウイスキーを理解できるようになります。

この記事ではウイスキーの製造方法を原料からボトル詰めまで1から解説し、味わいを決定づける製造方法のポイントについても解説します。

この記事のポイント

  • ウイスキーの製造方法を原料からボトル詰めまで、7つの手順に分けてご紹介
  • ウイスキーの製造方法において風味が変化するポイントを解説

ウイスキーの製造方法は異なる種類でも共通している

ウイスキーにはスコッチ、ジャパニーズ、アメリカンのように製造する国によっても種類が異なり、モルトやグレーンのように原料によっても種類が異なりますが、基本的な製造方法の流れは共通しています。

しかし、製造工程のどこかにある細かな違いがウイスキーの味わいに変化をもたらしているので、種類も味わいも細分化されていきます。

分かれた種類は世界で考えればキリがなく、スコッチウイスキーだけでもその種類は非常に豊富です。

初心者がウイスキー通を目指すなら、その種類を闇雲に覚えるよりも製造方法を知ることが近道になります

種類は非常に多くても大まかな製造方法が共通しているので、味わいを決定付けるポイントを理解すれば、製造方法からウイスキーの味わいをある程度推測できるようになります

ウイスキーを深く知るために製造方法の基礎知識を学んでいきましょう。

ウイスキーの原料について

ウイスキーの原料はビールと同じ麦であることは知っている方も多いと思いますが、麦を原料としないウイスキーも存在します。

モルトウイスキーはその名の通り、モルト(大麦)を原料にしたウイスキーですが、グレーンウイスキーはトウモロコシなどの穀類を原料としています。

後ほど詳しく解説しますが、糖化のためにおこなう準備の方法が変わるのと、蒸留の方法に違いがあるだけで、原料に違いがあるモルトウイスキーとグレーンウイスキーも大まかな製造方法に違いはありません

ウイスキーの製造方法は種類や原料の違いで多少の違いはあっても、流れは大きく変わらないため、共通した製造方法について次の項目で解説します。

ウイスキーの製造方法

それでは、具体的なウイスキーの製造方法を確認しましょう。

下記にウイスキーの製造方法を7つの工程に分けてまとめました。

  • ①製麦(モルティング)
  • ②糖化(マッシング)
  • ③発酵(ファンメンテーション)
  • ④蒸留(ディスティレーション)
  • ⑤熟成(マチュレーション)
  • ⑥ブレンド(ヴァッティング)
  • ⑦ボトル詰め(ボトリング)

それぞれ詳しく解説します。

①製麦(モルティング)

モルトウイスキーの原料である大麦は、そのままの状態ではウイスキーに必要なアルコールを作ることができません。

ウイスキーを糖化させるために、まずは大麦を発芽させて大麦麦芽にすると、糖化に必要な酵素を生み出せます

大麦を水で浸して発芽を促しますが、発芽を促進し過ぎると酵素が失われることに。

よって、成長を止めるために乾燥という工程が必要になり、大麦を燃料を用いて焚くことで成長を抑えます。

大麦を乾燥させる施設のことをキルンと呼び、後ほど詳しく解説しますが、乾燥で使用した燃料が完成したウイスキーの香りに大きな影響を与えることも。

グレーンウイスキーは原料を先に粉砕し、蒸煮することで糖化の準備を整えます。

②糖化(マッシング)

製麦で用意した大麦麦芽を粉砕し、ウイスキーの仕込み水と混ぜてウォート(麦汁)を作ります。

このとき使用する水もウイスキーの品質を決める上で重要な役割を果たします。

ウイスキーにおける良い水の条件は下記の通りです。

  • そのまま飲んでもおいしい水である
  • 異味、異臭がない
  • ミネラルがバランスよく含まれている

仕込み水は基本的に蒸留所近辺にある水を使うので、蒸留所の立地がウイスキーの品質に大きな影響を及ぼすといっても過言ではありません

粉砕した大麦麦芽に仕込み水を加えると、麦芽の酵素がデンプンを糖分に変えて甘いウォートが完成します。

麦の殻はろ過によって取り除かれ、糖化によってできた麦汁を次の工程で利用していきます。

③発酵(ファンメンテーション)

ウォートに酵母を加えて発酵させウォッシュ(モロミ)に変えます。

酵母はウォート内の糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスに変えることで、ウイスキー特有の複雑な香味が生じるのです。

発酵は約2~3日の期間でおこなわれ、このときのアルコール度数は7%~10%程度といわれています。

④蒸留(ディスティレーション)

アルコール度数7%ではビールと変わりませんので、蒸留という工程によってウイスキーは高い度数を持つお酒に変化します。

発酵させたモロミを蒸留器に入れて、蒸留させることで、アルコール度数を70%程度まで高めます。

アルコールと水の沸点の違いを利用して、約80度でアルコールのみを沸騰させて抽出します。

このとき抽出された生まれたてのウイスキーはニューポッドと呼ばれ、まだ無色透明の液体です。

また、モルトウイスキーとグレーンウイスキーでは使用する蒸留器が異なり、モルトウイスキーは単式蒸留器を使用するのに対して、グレーンウイスキーは連続式蒸留器が使用されます。

基本的に蒸留は2回または3回おこなわれますが、単式蒸留器は一回ずつ蒸留しますが、連続式蒸留器は一度の蒸留で複数回分の蒸留ができるので効率的です。

ただし、連続式蒸留器は原料の風味が残りにくくなる欠点があるので、一概に優れているとはいえません

⑤熟成(マチュレーション)

蒸留したニューポッドを木製の樽で寝かせて熟成させることで、ニューポッドは長い時を経て琥珀色の風味豊かなウイスキーに変化します。

熟成年数はノンヴィンテージ物であれば10年以下の場合もありますが、ヴィンテージ物であれば10年~30年熟成させるのが一般的です。

また、ウイスキー樽にはさまざまな種類があり、樽の種類や熟成年数がニューポッドの色や味わいを様々な物に変化させます。

ウイスキー樽による熟成は科学的に解明されていないことも多く、長期熟成であるほどその効果は未知のものとなっています

長い時を経て、深みのある味わいに変化するウイスキーにはロマンがあり、30年を超える長期熟成物はそのロマンを求めて多くの愛好家が欲しがる一品です。

⑥ブレンド(ヴァッティング)

長い時を経て熟成されたウイスキーが樽から取り出されると、商品としてボトル詰めをするためにブレンドがおこなわれます。

ブレンデッドウイスキーは複数の異なる原酒を混ぜて、より完成度の高い味わいを目指すのが目的です。

シングルモルトウイスキーの場合も、品質を均一にするために熟成年数の異なる同じ原酒をブレンドして味を調えますが、これをヴァッティングと呼びます。

また、ウイスキーをブレンドするプロのことをブレンダーと呼び、ブレンダーの腕が最終的なウイスキーの味わいに大きく関わってきます

ウイスキーのブレンドについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ウイスキーをブレンドする意味とブレンデッドウイスキーを自作する方法

⑦ボトル詰め(ボトリング)

ブレンド(ヴァッティング)したウイスキーはチルフィルタリングと呼ばれる工程を経ます。

チルフィルタリングとは、ウイスキーを冷却した後にろ過をして、不純物を取り除くことです。

最後に加水してアルコール度数を調整、ボトル詰めをすればウイスキーの完成になります

特に熟成において長い場合は30年以上の時をかけるため、ウイスキーの完成には時間と手間がかかります。

しかし、ここまでのこだわりぬいた製造方法があるからこそ、香り豊かで、優れた風味を持つウイスキーが私たちの元に届くのです

ウイスキーの自家製は禁止されている

ウイスキーの製造方法を知ると自分で作りたくなった方もいるかもしれませんが、日本において自身で酒を作る行為は禁止されています

酒税法において、アルコール度数1%を超えるお酒を免許のない人が作ると罰金刑または、懲役刑が科されます。

国内でウイスキーを製造するには、国から許可を得て免許を取る必要がありますが、取得難易度が非常に高いです。

既製品を利用した個人の消費は例外

ただし、酒税法に抵触しない既製品を利用した個人の消費には一部例外があります。

例えば、ウイスキーを果実に漬けて、漬け込みウイスキーを作って自分または一緒に住んでいる家族が飲む場合は酒税法に抵触しません。

同様に複数のウイスキーを購入して、自らブレンドしてブレンデッドウイスキーを作り消費する行為も問題ありません。

重要なのは個人の消費の範囲内であることであり、作ったウイスキーを販売する場合は違法になります

他にもいくつかの注意点があるので、漬け込みウイスキーやブレンデッドウイスキー作りに興味のある方は以下の内容を確認してからおこなうようにしましょう。

酒税法 概要
消費者が自分で飲むための酒類であること(同居親族の消費も含む)
漬け込む酒のアルコール度数が20度以上で、酒税が課税済みのものであること
米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ、でんぷんは使用不可
ぶどう(山ぶどう)は酒の材料に使用できない
アミノ酸、ビタミン類、核酸分解物、有機酸、無機塩類、色素、香料は使用不可

参考:国税庁 【自家醸造】

漬け込みウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

漬け込みウイスキーを楽しもう!漬け込むなら何がおすすめ?

ウイスキー製造方法において風味を変化させるポイント


最後に製造方法の中でウイスキーの風味に、大きく影響を与える製造方法のポイントについて確認しましょう。

下記のポイントを理解するだけでも、ウイスキーの味わいに詳しくなれますよ。

  • モルティングでピートを使用する
  • 熟成に使用する樽の種類と年数
  • ブレンドからボトル詰めまでの工程

モルティングでピートを使用する

製麦(モルティング)では大麦の成長を止めるために、乾燥という工程を挟む必要がありました。

乾燥には燃料が必要ですが、スコッチウイスキーでは木炭ではなく、ピート(泥炭)と呼ばれる燃料を使用します。

このピートを燃料に使用するとウイスキーにスモーキーな風味が付与されます

ピートを燃料に使用するのはスコットランドの自然環境に由来するため、基本的に他の国のウイスキーでこの特徴を見ることはできません。

このスモーキーな香りは好き嫌いが分かれやすいため、乾燥にピートを使用しているかどうか判断できれば適切な銘柄を選びやすくなるでしょう

ウイスキーのピートについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ウイスキーのピートとは? ピート香の強いウイスキーの飲み方も解説!

熟成に使用する樽の種類と年数

樽はウイスキーの材料の一部と呼ばれるほど、重要な役割を持っているため熟成樽の違いや、熟成年数がウイスキーの味わいを大きく変化させます。

例えば、シェリー樽であればフルーティーな香りと風味が特徴であり、バーボン樽であればバニラやキャラメルのような甘みをウイスキーに付与します。

そして、熟成年数が長いほどウイスキーの味わいは複雑でまろやかな口当たりになりやすいです

ウイスキーを深く理解するなら、熟成樽の知識は必須であり、樽の種類で味わいをある程度推測できるようになれば、ウイスキー通に一歩近づきます。

ウイスキーの熟成樽について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

ウイスキー樽の種類で味わいは変わる!それぞれの特徴をご紹介

ブレンドからボトル詰めまでの工程

商品としてブレンドしてからボトル詰めするため、最終的な味わいはこの過程で確定します。

ブレンデッドウイスキーであればブレンダーの腕に大きく依存することは分かると思いますが、シングルモルトもヴァッティングで味を調える工程が重要です。

また、ボトル詰めをする前に加水をしてアルコール度数を調整する工程がありますが、あえて度数を調整しない場合があります。

このような方法をカスクストレングスと呼び、高いアルコール度数でボトル詰めをおこないます。

カスクストレングスは加水処理をしたウイスキーよりも本来の味や香りを楽しみやすいです。

これまでの工程も重要ですが、最後の工程も商品の質や評価に大きな影響を及ぼす重要な役割を持っています

まとめ

ウイスキーの製造方法と、製造方法において特に重要なポイントについて解説しました。

特に熟成樽は味わいに大きな影響を及ぼすため、ウイスキー樽について学ぶことがウイスキー通を目指す最短の道といえるでしょう。

他の製造方法についても深く理解して、個々の蒸留所がおこなう独自の工夫を見るのも勉強になりますよ。

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