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ウイスキーの原料はモルト(大麦)だけではない! 種類によって変わる味わいとは?

2021.11.12 / 最終更新日:2021.11.12

ウイスキーの原料は大麦だけではなく、トウモロコシやライ麦を使うこともあり、過去には米が原料として使用されたこともあります。

使用する原料によってもウイスキーの種類は変化し、大麦(モルト)を使うならモルトウイスキー、トウモロコシをはじめとする大麦以外の穀類を使うならグレーンウイスキーとなります。

また、スコッチウイスキーを代表するシングルモルトと、アメリカンウイスキーを代表するバーボンウイスキーは同じウイスキーでも原料はまったく異なり、香りも味わいも別物です。

この記事では原料ごとに分類されるウイスキーの種類を紹介し、スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違いについても解説します。

この記事のポイント

  • 原料ごとに分類されるウイスキーの種類を紹介
  • スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違いを原料の観点から解説

ウイスキーの原料にはさまざまな種類がある

ウイスキーの原料の定義は、国によって多少の違いはあるものの穀物を使うことが条件となっていることが多く、必ずしも麦を使用するとは定義されていません。

ウイスキーの本場であるスコッチウイスキーの定義を確認しておきましょう。

<スコッチウイスキーの定義>

  • 原料として使用できるのは、大麦麦芽などの穀物と水、酵母のみ
  • 糖化、発酵、蒸留の工程をスコットランドの蒸留所でおこなう
  • アルコール度数94.8%以下で蒸溜
  • 容量700L以下のオーク樽を使用して最低3年以上熟成
  • 瓶詰時の最低アルコール度数は40%
  • 添加物に使用できるのは水とカラメル

大麦麦芽が代表的な原料であることは間違いありませんが、他の穀物の使用が禁止されているわけではないのです。

そのため、ウイスキーの種類によってトウモロコシ、ライ麦などの穀類が使用されることもあります。

ただし、スコットランドでモルトウイスキーを名乗る場合は例外で、100%大麦を使用する必要があります

スコッチウイスキーを含めた世界5大ウイスキーの定義を確認したい方はこちらの記事をチェックしてください。

世界の五大ウイスキー!産地によって香りや味に違いが出る理由とは?

原料ごとに異なるウイスキーの種類

それでは、具体的なウイスキーの原料とそこから製造されるウイスキーの種類を確認しましょう。

原料 ウイスキーの種類
大麦 モルトウイスキー
トウモロコシなどの穀類 グレーンウイスキー
ライ麦 ライウイスキー
ライスウイスキー
キヌア キヌアウイスキー

大麦(モルトウイスキー)

大麦のみを原料にしたウイスキーはモルトウイスキーになります。

スコットランドをはじめとする蒸留所では数多くの種類のモルトウイスキーが製造されており、ブレンデッドウイスキーを除けば最も一般的な原料で製造されたウイスキーになります。

モルトウイスキーは個性やクセが強い銘柄が多いのが特徴であり、麦の味の強さは種類によっても異なるのが特徴です

また、ウイスキーの原料にする場合は大麦をそのまま使うのではなく、必ず発芽させた大麦麦芽の状態で使用します。

発芽させることで、ウイスキーの製造に必要な糖化という工程の中で必要なデンプン分解酵素を作り出します。

この性質がウイスキーの製造に合っていることが、大麦がウイスキーの代表的な原料となっている理由です

モルトウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

シングルモルトウイスキーのおすすめの種類と選び方をご紹介

トウモロコシなどの穀類(グレーンウイスキー)

トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀類を複数使用して作るウイスキーのことをグレーンウイスキーと呼びます。

グレーンウイスキーはクセが少なく飲みやすい味わいが特徴であり、ウイスキー初心者も飲みやすいです

味わいにおいてモルトウイスキーとは対になるウイスキーであり、どちらもブレンデッドウイスキーを作る際に使用される原酒です。

クセがない代わりに味わいが単調なグレーンウイスキーをベースに個性の強いモルトウイスキーをブレンドして、深みのある味わいを持つ完成度の高いウイスキーを作ります。

グレーンウイスキーは単体で飲まれることは少なく、基本的にブレンデッドウイスキーの原酒に使用されることが多いです

グレーンウイスキーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

グレーンウイスキーとは? 製造方法や飲み方、おすすめの種類について

ライ麦(ライウイスキー)

ライ麦を原料にしたウイスキーはライウイスキーと呼ばれ、アメリカンウイスキーの一種です。

アメリカでライウイスキーは定義されており、原料に51%以上のライ麦を使用し、樽で2年以上熟成させるとライウイスキーを名乗れます。

スパイシーでほんのり苦味があるのが特徴であり、コクや奥深さもあるのでファンも多いウイスキーです

また、ライ麦の比率が高いほど芳香な香りになりやすく、高級感のある風味を楽しめます。

米(ライスウイスキー)

米を原料にしたライスウイスキーは、かつて日本のキリンディスティラリー(旧:キリン・シーグラム社)から販売されていたウイスキーです。

雑味がなく、果実の甘みがある飲みやすい味わいが特徴で、透明感のある色はウイスキーというより米焼酎に近いものでした

また、米7割、大麦3割で製造することで、米焼酎との差別化を計り、新しいウイスキーの製造方法として確立しようとしました。

しかし、ライスウイスキーは静岡県で限定販売された後に、すでに終売しています。

キヌア(キヌアウイスキー)

キヌアはアメリカで生産される栄養価が非常に高い穀物として知られており、キヌアウイスキーはアメリカのコルセア蒸留所で製造されています。

食物繊維、ミネラル、タンパク質が豊富で、健康食品としても話題です。

ライトで甘い味わいに、ナッツの風味が感じられる飲みやすい風味であるため、マイナーではありますが初心者でも飲みやすいウイスキーとなっています

製造方法はキヌア2割、モルト8割であり、キヌア単体では糖化させることが難しいため、モルトの比率が多くなっています。

スコッチモルトとバーボンの原料の違い

スコットランドの代表的なウイスキーであるモルトウイスキー、アメリカの代表的なウイスキーであるバーボンウイスキーは製造方法にも違いはありますが、最も大きな違いは原料です。

スコッチモルトは100%大麦でできているのに対して、バーボンウイスキーは51%以上がトウモロコシで残りの原料を麦類で構成しています。

スコッチモルトは大麦、バーボンはトウモロコシでできていると考えれば分かりやすいかと思います。

ウイスキーはさまざまな国で製造されていますが、製造方法の流れに大きな違いはないので、原料が差別化のポイントになっていることも多いです

スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違いについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

バーボンとスコッチの違いは?奥深いウイスキーの世界

グレーンとバーボンの違い

ここまで記事を読んだ方は、グレーンウイスキーとバーボンウイスキーがほとんど同じ原料であることに気がついた方も多いかと思います。

しかし、一般的にバーボンウイスキーをグレーンウイスキーの一種と呼ぶことはしません。

バーボンウイスキーはアメリカの主にケンタッキー州で独自の製法で製造されるウイスキーであり、現在ではアメリカ各地でも作られていますが、アメリカで製造されるウイスキーという認識は変わりません

一方で、グレーンウイスキーもスコットランドの歴史的な背景から、モルトウイスキーの代替として製造されたウイスキーです。

また、バーボンウイスキーはバニラとカラメルの甘みを強く感じられるパワフルな印象であるため、グレーンウイスキーのクセが少なく飲みやすい味わいとは大きく異なります。

同様の原料を使用したとしても、産地や味わいがまったく異なるので、別のウイスキーとして扱われます

まとめ

ウイスキーには大麦以外にもさまざまな原料が使用され、ウイスキーの味わいも変わってきます。

モルトウイスキー以外にもさまざまなウイスキーがあることを知っておくと世界が広がりますので、原料によるウイスキーの種類と違いを覚えておきましょう。

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