インタビュー
『自分だけのウイスキーを作るという体験』
- オリジナルボトルを作ろうと思った理由を教えてください。
まず第一に、私がウイスキー愛好家であることが挙げられます。ウイスキー愛好家として自分だけの世にないオリジナルボトルを作ることは夢のような体験です。
ウイスキー・カスク・インベストメントのボトリングサービスでは、原酒の選定だけでなく、アルコール度数の調整、ボトルやラベルのデザインなどを決めることができ、私のイメージを全て叶えていただくことができました。
また、現在日本だけでなく世界中で空前のウイスキーブームが巻き起こっています。このブームの中で、安価なウイスキーだけでなく高級なウイスキーへの需要も高まっており、原酒の供給が需要に追いついていない状況です。こうした時期にウイスキーボトリング事業を始められたことは、非常に良いタイミングだったと感じています。ウイスキーの真価がますます輝きを増す中で、私の手で作り上げたオリジナルボトルが、この時代に一石を投じる存在になることを確信しています。
『唯一無二の蒸溜所』
- 原酒にモートラックを選択した理由を教えてください。
入手可能な原酒リストの中にこのモートラック9年物のオロロソシェリーカスクを見つけました。私はその原酒の希少性に強く惹かれました。
モートラック蒸溜所はスペイサイド・ダフタウンというスコッチの聖地において、歴史に裏打ちされた存在感を誇ります。その味わいは圧倒的で、「ダフタウンの野獣」と称されるほどです。ダフタウンは人口1500人程度の小さい街ですが、グレンフィディックやバルヴェ二―、グレンダラン、ダフタウン、アルタベーンといった蒸溜所が密集しているエリアです。その中でもモートラックはダフタウン最古の蒸溜所であり、1887年にグレンフィディックができるまではダフタウン唯一のイギリス政府認可蒸溜所でした。
製法も非常に特徴的で、通常の2回蒸留ではなく2.81回蒸留という独特の手法を100年以上にわたり守り続けています。さらに、スコットランドでも希少なワームタブと呼ばれるらせん状の冷却装置を使用しているのも特徴の一つです。ウイスキー愛好家として、モートラックの歴史の深さと強いこだわりから生まれる味わいには、特別な魅力を感じずにはいられません。
私が調べた中ではシングルカスクのモートラックは非常に流通量が少なく、市場にはほとんど出回っていません。また、近年はシェリー樽のウイスキーが人気を博しており、シェリー樽原酒が非常に減少している中で、モートラック9年のシェリーカスクの希少性が一層際立っています。また、今回は
加水(原酒に水を加えてアルコール度数を下げる過程)をすることで、48.5%でボトリングしたので、飲みやすい仕上がりになっていると思います。
『今までにない新しいものを』
- ボトルのデザインで、こだわったことを教えてください。
こだわりのポイントはいくつかありますが、特に重要視したのは色合いです。通常、ウイスキーのボトルではあまり見かけないピンクを選びました。ピンクという色には「優しさ」や「可愛さ」などのイメージがあります。
このオリジナルボトルは、多くの方に楽しんでいただきたいという思いから、他にはない斬新な色彩を採用しました。ピンクのラベルのウイスキーは珍しいため、ウイスキー愛好家にとって特筆すべき印象を与えることができるのではないでしょうか。
今までにない新しいボトルを造りたいという想いと、自分のイメージしていたものを形にしたいという強いこだわりがあり、ボトルデザインの選定には時間がかかりました。デザイナーには複数の提案をいただき、その中から私のイメージにぴったりのデザインを選びました。柔らかく優しいピンクを基調にしながらも、上品で高級感のあるデザインに非常に満足しています。
『始まりの1本』
- 今回作成したオリジナルボトルの利用用途を教えてください。
今回作成したオリジナルボトルは、主に販売を目的としています。ウイスキーブームが世界中で巻き起こっているこの時期で、オリジナルボトルを販売することは、ボトリング事業を始める上で、非常に重要な一歩だと捉えています。自身が手がけたボトルが数多くの方々の手に渡り、その素晴らしさに触れ、共感していただけることが、何よりも喜ばしい瞬間となるでしょう。
また、このオリジナルボトルの販売が単なる製品の販売を超えて、新しいウイスキー愛好家との交流の契機となれば、これほど嬉しいことはありません。
- オリジナルボトルが作成から実際に手元に届くまでにかかった時間を教えてください。
デザインや原酒の選定が確定してから、約3ヶ月でオリジナルボトルが到着いたしました。新型コロナウイルスが沈静化する中でも、ロシアやウクライナ、そしてイスラエルやパレスチナなど、
世界情勢が緊迫する状況でしたが、ボトルが予定通り手元に到着し、それが確認できた瞬間は非常に安心しました。
『最上級の体験』
ウイスキーのボトルを構成する要素には、蒸留所、シェリー樽やバーボン樽のような樽のタイプやサイズ、熟成年数、そしてボトルのデザインなどが挙げられます。これらの要素の組み合わせは無限にあるのではないかと思います。
ボトリングサービスでは、蒸溜所や大手ボトラーズが提供する一般的なウイスキーには見られない独自の要素で構成されたオリジナルボトルを、自身の好みで仕立てることができます。これはウイスキー愛好家として、最上級の体験となることでしょう。